【ベトナム】視覚障がい者が働く「暗闇レストラン」が人気
Global News Asia / 2016年2月17日 12時15分
2016年2月17日、「Noir.」は、2014年にベトナム人とオランダ人が開業したレストランで、富裕層や在住外国人を中心に注目を集めている。
世界的に人気の観光サイト「Trip Advisor」の、2,000軒を超えるホーチミンのレストラン部門でも、常に1位を獲得している。このレストランの最大の特徴は、暗闇の中で食事をするという点であり、店名の「Noir.」は、フランス語で「黒」を意味する。エントランスで希望の料理、好き嫌いやアレルギーの有無などのアンケートに答え、まずは暗闇に目を慣れさせるために目隠しをしてパズルを行う。その後、暗闇の中をガイドする視覚障がいを持つスタッフの案内により、一切の光が入らない部屋の中でフルコースを楽しむ。客の多くは、「暗闇の中での食事」というエンターテインメント性を楽しむために訪れるが、このレストランのコンセプトには「視覚障がい者の雇用創出と理解」という側面もある。
1988年にドイツから始まり、現在では日本をはじめ、世界各地で展開されている「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」と類似している(こちらは暗闇の中で散歩をするプログラム)。メニューには点字も印字してある。料理はエスニック(48万ドン/約2,500円)とヨーロピアン(56万ドン/約2,900円)から選べ、創意工夫が凝らされており、食事の質も高い。食後には何を食べたのか、写真を見ながら答え合わせをすることができる。
ベトナムは、経済発展により所得が増加したと言われて久しく、多様なレストランが増え、特に富裕層の舌が肥えてきている。食だけでなく、エンターテインメント性に富んだ「Noir.」は、富裕層にとっても新鮮な存在であり、話題となっている。暗闇の中で食べるため、味覚が研ぎ澄まされるという効果も期待できる。
そして、「Noir.」がTrip Advisorで1位を維持し続けている最大の理由は、口コミによるものであると考えられる。行ったことを人に話したくなる暗闇レストランの体験は、ネットの情報よりも口コミを信頼するベトナム人のネットワークで一気に広まった。また、ベトナムは戦争時の枯れ葉剤などの影響もあり、障がい者人口が少なくない。街では、視覚障がい者が、宝くじを売る他、スピーカーを引いて流しの弾き語りのようにカラオケを披露している光景をしばしば目にする。
親族や友人関係に障がいを持つ人がいることも珍しくなく、障がいに対する理解が大きいことや、ボランティア意識も高いため、このようなレストランやビジネスモデルが今後も出てくることが予想される。
【写真提供・出典 : TNCアジアトレンドラボ】
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