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【タイ】長蛇の弔問に広がる助け合い‐すべては国父の為に

Global News Asia / 2016年10月20日 10時0分

手作りの喪章リボンを手にマスコミの記念撮影に応じる歌手たち

 2016年10月19日、プミポン国王陛下の逝去から5日が経過したバンコクでは、普段通りの経済活動が再開されつつある。観光立国でもあるタイは、その弊害を少しでも和らげようと、夜の歓楽街も音楽はスローな曲のみ、飲酒は室内でという制限付きで再開した。その一方で、国父を哀悼するため記帳のために王宮を訪ねてタイ全国から、ひっきりなしに人々が集まっている。

 18日午前中、テレビ司会者コー・タナコン氏の呼びかけで、歌手たちが王宮広場に集まった。彼らは、地方などから来て猛暑の中を長時間待っている弔問の人々に、ウェットタオルや飲料、お菓子など無料で配るという。彼らは自費でお菓子などを持ち寄って集まった。その中には、日系アパレルブランド「オズコレクション」の姿もあった。

 タナコン氏らのタイ人グループの中に唯一の日本人として参加したスタッフは、「普段、このタイで衣装の製作と仕入れをして日本へ向けて送っています。そして、タイの歌手やダンサーのステージ衣装を製作したり、イベントを企画することもあるんです。そうした縁で彼らを手伝うことで、タイへ恩返しができるのではと考え、参加しています。本当なら、社長自ら来て手伝いをしたかったのですが、どうしても調整がつかずに残念がっています。」

 そう語ったスタッフは、欧米観光客らが物珍しげに眺めている中を、タイ人歌手たちととも汗まみれになって飴玉を配っていた。

 弔問の列が長く続く王宮広場には、バンコク都が用意した移動式トイレが数十台並び、ボランティアの医師と看護師が待機する医療テントや慈善団体が食事も配給している。また大手企業も、それぞれ自社製品を無料で配布している。そうした中でも商魂たくましく陛下の肖像画や日傘などを売り歩く姿もある。

 そして、タナコン氏らのように個人で持ち寄ったものを配る人や、自分のバイクで無料送迎を行っている人もいる。お互いに深い悲しみを共有し、思いやり、助け合う姿は、プミポン国王が理想とした国民の姿のように見えた。

 なお、王宮とエメラルド寺院は、今月20日まで観光拝観の入場を中止している。その後も50日、100日などの法要のため閉館されるので、拝観に訪れる際は、事前に確認したほうがいい。

【記事/写真 : RD】

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