“甘いから血糖値が急激に上がる”はウソ…「朝バナナ」が痩せる理由。「死亡リスク低下」、「うつ病防止」効果も【順天堂大学医学部教授が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月13日 8時0分
(※写真はイメージです/PIXTA)
ダイエットをしたくても、運動や食事制限は長続きしないものですよね。そこでオススメなのが、「バナナの朝食化」です。一体なぜでしょうか? 本記事では順天堂大学医学部教授の医師、小林弘幸氏による著書『お医者さんがすすめるバナナの「朝食化」ダイエット 超シンプルな腸活健康法』(アスコム)から一部抜粋して、バナナの朝食化がダイエットに最適な理由について解説します。
医師が教える「やせる朝食」3つの条件
リバウンドしないためになにが必要なのか、勝手にやせる体になるには、結局どうすればよいのか。それは次の3つの条件を満たしているものを朝食で食べることです。
・GI値がなるべく低いもの ・できるだけ簡単に用意できるもの ・腸内環境が改善される成分が入っているものこの条件を満たすのが「バナナ」です。「バナナ」を「朝食化」する。すなわちバナナを朝に食べることをおすすめする理由は、この3つの条件をバナナが兼ね備えているからです。
医師が教える「やせる朝バナナ」3つの条件
1.バナナは血糖値が上昇しにくい
まず、甘いので糖質が多く、血糖値が急激に上がりそうなイメージがありますが、バナナはGI値が低い食品です。
2.バナナは簡単に用意できるため、継続しやすい
そして、2つ目の条件、できるだけ簡単に用意できるものという条件に、一番マッチするのが、バナナではないでしょうか。
リバウンドしないために必要な条件は、「お金、時間、手間がなるべくかからないもの」「あなたのライフスタイルを鑑みて週4日は忘れずにできそうなもの」という「継続」が重要です。特に朝食だと、ここが大切になります。
なにかと慌ただしい朝。ダイエットはもとより、1日の活力のためにも朝食が大切だとわかってはいても、欠かさずとるのはけっこう大変なものです。ある調査の朝食をとらない人の理由を見ると、「面倒だから」54.2%、「時間がないから」50%が上位を占めていました。そこで、バナナの出番です。
これまで何度かお話ししてきたように、バナナならカットも加熱も不要で、皮をむくだけでパパッと食べられます。やわらかいので咀嚼にも時間がかからず、短時間で食べ終えることができて後片付けにも手間がかかりません。
ちょっとお行儀は悪いですし、咀嚼回数が減ってしまうのでおすすめはしませんが、忙しいときはスマホや新聞をチェックしながらの「ながら食べ」も可能。面倒だから、時間がないからという問題は即解消できます。また、持ち運びしやすく、家でどうしても食べる時間がないというときは、会社などに移動してからパクリと食べるということも可能です。
ちなみに、紹介した調査によると金銭的な理由で食べない人が20%ほどいました。バナナは比較的安価で、腹持ちも抜群。その点においても、バナナはうってつけです。
3.バナナには「不溶性」と「水溶性」、両方の食物繊維がある
条件の3つ目、腸内環境が改善される成分についてです。
腸内環境をよくする食品と聞いておそらく多くの人が思い浮かべるのが、ヨーグルトや納豆といった善玉菌を含む発酵食品ではないでしょうか。新しい善玉菌を腸の中に取り入れて増やすという考えですが、腸内では腸内細菌たちがすんでいて、ともに助け合い共生しながらも、同時に激しい生存競争が日夜繰り広げられています。
たくさんの菌たちが幅をきかせているなかで、新参者の菌が生存するのは難しく、新しく摂取した善玉菌は、半日ぐらいしかとどまれないともいわれています。そのため定期的に発酵食品を摂取して腸に送り込むことが大切になるのです。
同時に目を向けたいのが、なかなか新しい善玉菌が定着しにくいのであれば、腸の中にすでにすんでいる善玉菌を元気にして、増殖させていく方法です。人間も職場の環境がよく、健康的な食事を続けていれば、パフォーマンスがあがると思いますが、善玉菌も同じです。
・腸を善玉菌が居心地のいい環境にする ・元気になる食べ物を与えるこの2点が善玉菌を元気にするコツになります。そして、これらを実現するために役立つのが食物繊維です。
食物繊維は一般的に、水に溶けるかどうかで、2種類に分けられます。善玉菌が居心地のいい環境にするのが、水に溶けない「不溶性食物繊維」です。
善玉菌の居心地がいいのが、腸に便がたまっていない環境です。不溶性食物繊維は、水分や老廃物などを吸着して、便のかさを増やして排出しやすくしたり、腸を刺激して、ぜん動運動を活発化し、排便を促したりといった性質をもっており「腸のおそうじ繊維」といえる存在です。ちなみに、不溶性の食物繊維は、にんじんやごぼうといった根菜類、小麦、ライ麦といった穀類、ほうれん草、レタスといった葉物の野菜、大豆、枝豆などの豆類、きのこなどに含まれています。
そして、善玉菌を元気にするためのエサとなるのが、もう1つの水に溶ける「水溶性食物繊維」です。先ほど説明した「短鎖脂肪酸」は、この水溶性食物繊維を善玉菌が食べることでも産生される、いうなれば「腸のお食事繊維」といった存在です。また、便をやわらかくして出やすい状態にしてくれるという効果もあります。水溶性植物繊維は、昆布やわかめといった海藻類、こんにゃく、里いもなど、ヌルヌル、ネバネバしたものや、ごぼうなどに多く含まれています。
この2つの繊維をバランスよくとることが腸内環境を整えるためには大切です。
ちなみに、食物繊維は、その摂取量が多いほど、死亡リスクが低くなる、うつ状態になりにくくなる、最近では、睡眠の質が低くなる原因といわれる歯ぎしりとの関係性が示し唆さされるなど、いま注目されている食品成分です。
バナナには不溶性と水溶性、両方の食物繊維が含まれています。また、水溶性食物繊維と同様に善玉菌のエサとなるフラクトオリゴ糖という物質も含まれています。そしてなにより、「第3の食物繊維」、「ハイパー食物繊維」といわれる「レジスタントスターチ」という物質が多く入っているのです。
小林 弘幸 順天堂大学医学部教授
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