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やったね、給与アップ!〈月収34万円〉33歳サラリーマン、〈月3万円〉の昇給に歓喜も「んっ⁉」給与明細に覚えた違和感の正体

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月13日 7時15分

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賃上げ、賃上げとニュースでも大きく報じられましたが、実際に「給与アップ!」と喜びの声をあげた人も多いでしょう。しかし、その手に入れた給与、どのように構成されているか、知っていますか? きちんと理解していないと痛い目にあう可能性も……みていきましょう。

「実質賃金マイナス」記録更新も、夏ごろには「実質賃金プラス」予測

厚生労働省が9日公表した3月の毎月勤労統計調査(速報)によると、「現金給与総額(就業形態計)」は、30万1,193円で前年同月比0.6%増、「きまって支給する給与」は27万9,234円で前年同月比1.5%増、そのうち「所定内給与」は25万9,531で円で前年同月比1.7%増。いわゆる名目賃金は、確実にアップしています。しかし実質賃金は前年同月比2.5%減と24ヵ月連続で前年割れ。マイナス期間が過去最長を更新しました。賃金の上昇がインフレを下回る状態が続き、家計は疲弊。それでも今年夏以降には、春闘での高い賃上げの影響により、実質賃金がプラスに転じるだろうと、少し希望をもてる予測もでています。

ただ賃上げ、賃上げ、賃上げと、ニュースでたびたび耳にしますが、一方で、「賃上げなんて、うちの会社は関係ない」と蚊帳の外にいる人の声もチラホラ。実際はどうなのでしょうか。昨年の賃上げの状況をまとめた、厚生労働省『令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査』をみていくと、「賃上げを引き上げた(予定含む)」と回答した企業は、全体の89.1%。「改定を実施しない」5.4%、「未定」5.3%を大きく上回りました。

企業規模別にみていくと、規模が大きくなるほど、賃金を引き上げた企業は多くなります。

【企業規模別「賃金を引き上げた(予定含む)」企業の割合】

従業員5,000人以上:97.3%

従業員1,000~4,999人:93.3%

従業員300~999人:93.1%

従業員100~299人:87.4%

賃金を引き上げた(予定含む)という企業の割合を経年でみていくと、コロナ禍により一時はぐっと減少していたものの再び上向きに。良い流れになっていることは明らか。賃金に関しては悲観的な見方も多いものの、「夏ごろには……」という予測には、ぜひ期待したいところです。

【「賃金を引き上げた(予定含む)」企業の割合】

2000年:75.8%

-----------------------

2005年:73.5%

-----------------------

2010年:74.1%

-----------------------

2014年:83.6%

2015年:85.4%

2016年:86.7%

2017年:87.8%

2018年:89.7%

2019年:90.2%

2020年:81.5%

2021年:80.7%

2022年:85.7%

2023年:89.1%

「給与アップ」に大喜びのサラリーマンだったが、同僚のひと言で「真実」に気付くことに

――やった! 給与アップしました!

と歓喜の声を投稿した33歳のサラリーマン。なんでも月3万円ほど給与が増えたとのこと。給与アップのお祝いに、早速、同僚とともに祝杯をあげにきたといいます。

――よく「年×1万円」を上回る給与と言われるけど、やっと1万円だけ上回った!

ハイテンションがとまりません。しかしそこで同僚がポツリ

――でもうちの会社って、基本給がほとんど上がらないよな

男性は「ん⁉ どういうこと?」と思ったといいますが、よく意味が分からなかったので、その場では話をスルーしたといいます。後日、同僚の言葉が気になって、久々に給料明細にきちんと目を通したといいます。

●基本給…150,000円

●役職手当…150,000円

●その他インセンティブ…40,000円

給与明細には「時間外手当」や「通勤手当」「住宅手当」など項目があり、毎月の給与34万円に加えて、この月にはプラス3万円ほどが支払われていました。

――確かに、基本給は入社以来、ずっと15万円のままかも

働く上で基本となる給与を指す基本給。実は法的に定義されたものではないので、会社によって基本給の決め方は異なります。厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(平均年齢43.6歳)の基本給は、月36.3万円。30代前半の基本給は30.7万円。総支給額は月34.9万円なので、月収としては平均的な水準ですが、基本給としては半分程度にとどまります。

――基本給が低くても給与が高ければ問題ないじゃない?

しかし基本給が低いことで生じるデメリットがあります。まず「①残業代や賞与、退職金が低くなる」ということ。これらは一般的に基本給を基準に支払われるもの。当然、基本給が低ければ、どんなに残業しても、どんなに会社の業績が良くても、残業代や賞与は低くなってしまいます。

ただし退職金は勤務年数に応じて支給額が決まっていたり、毎月の給与から一定額が応じてあらかじめ決められていたり、毎月の給与から一定の金額を積み立てたりするケースも。

さらに基本給が低いデメリットとしては「②手当のカットにより給与が低くなる」ということ。基本給は労働契約法により守られているため簡単に減らすことはできません。一方で諸手当は会社の裁量で減額したり、そもそも手当てを無くすことができます。前出の男性の場合、極端な話「役職手当を廃止します!」という会社の判断のもと、給与が半減という可能性もゼロではないわけです。基本給を上げないというのは、人件費を抑制するという企業の戦略。ただ従業員側にはデメリットがあることを十分に理解しておく必要があります。

昨今の賃上げブームで実際に給与アップでウハウハ気分の人も多いでしょう。しかし単に振り込まれた給与に歓喜するのではなく、きちんと給与明細を読み解かないと、痛い目にあう可能性があるのです。

[参考資料]

厚生労働省『毎月勤労統計調査令和6年3月分(速報)』

厚生労働省『令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

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