「ピースボートクルーズ船の売店」で長年働いた64歳女性、下船するも自宅はなく…セカンドキャリアとして選んだ「住居も収入も確保できる仕事先」とは
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月22日 16時0分
画像:PIXTA
旅するように働き、稼ぐ。リゾート地での仕事を通じて、そんな生活を満喫する人たちがいる。サラリーマンを卒業して精神的に豊かな暮らしを取り戻した人、勤務したリゾート地が気に入って移住してしまった人。リゾート地での仕事を転々としながら日本一周を目指すインフルエンサー。旅するように働く人たちの形はさまざまだ。この連載では、リゾートバイトを通じて精神的にも金銭面でも豊かな生活を目指す人たちを紹介していく。
ピースボートの船上からリゾートバイトへ
福井県出身の山口順子さん(仮名、64)がリゾートバイトを始めたのは2019年のことです。それまでは喫茶店の経営を経て、世界一周する「ピースボート※」の船の売店などで9年間働いていました。
※国際交流を目的とした船旅のコーディネートを主な活動とする非政府組織(NGO)
いったん船を降り、日本に帰国することにしましたが、すでに自宅は引き払っていました。「リゾートバイトで働けば、住む場所と収入が確保できる」と思い、人材紹介サービスに登録したといいます。
山口さんがリゾートバイトを意識したのは、家の確保という実利面だけではありませんでした。15歳のころから、日本一周の旅をしていたお兄さんに憧れて「自分も日本各地で働いてみたい」と思っていたからです。
旅行で観光地を巡るだけでなく、地元で働いて、「旅行以上、移住未満の生活を体験したい」「働いて、その土地をより深く知りたい」という潜在意識がありました。
「温泉に入れるところ」を中心に働く場所を選ぶ
もう1つのリゾートバイトの目的は、趣味の「温泉巡り」です。「温泉に入れるところを中心に働く場所を選んだ」という山口さん。これまで秋田、福島、北海道、群馬など11ヵ所のリゾートバイトを経験しましたが、ほとんどの場所に温泉がありました。
活動している火山の数が多いうえ、複数のプレート上に位置しているために多くの温泉が湧き出る日本。各地で働くリゾートバイトの特性をいかし、山口さんは、まるで大好きな温泉を巡るように働いてきたのです。
最も印象深かったのは、群馬県の四万温泉です。緑豊かな上信越高原国立公園のなかにある温泉地で、周辺には透き通った薄いグリーンの清流やたくさんの滝、奥四万湖などがあります。セキレイやホウジロ、キジなどのさまざまな野鳥も見ることができます。冬には氷柱(つらら)が下がり、霧氷も飛んでいました。
山口さんは紹介されたホテルで働いていましたが、「社員専用の温泉があって、いつでも無料で入れた」と言います。休日に周辺を観光するのも楽しみでした。
仲良くなった同僚たちとグループLINEでつながる
「幅広い人たちとの出会いがあって、仕事仲間たちと連絡を取り合ったり、再会したりするのが楽しい」。山口さんは日本各地で働くことの魅力を語ります。
秋田のホテルでリゾートバイトをした際には、30代の同僚2人と友人になりました。1人は台湾好きの女性、もう1人はソロキャンプが趣味の女性でした。2人とも考え方がしっかりしていて、はっきりモノをいうタイプ。
「彼女たちは人生の目的意識が明確で、自由人だった。自分の息子と同じくらいの年齢だったが、考え方に共感できる仲間ができたと感じた」と山口さんは話します。うち1人とは寮で週に3回ほどお酒を飲んでいたといいます。
この2人とホテルの正社員2人とは、いまでもグループLINEが続いています。LINEでは「みんなで予定を合わせて再会したいね」などと話しているそうです。
山口さんはリゾートバイトについて「どんなところで働いても、嫌なこともあれば、性格が合わない人もいないわけではない。しかし、よい人もたくさんいる。そうした人たちとの出会いのチャンスがある」と語ります。
66歳の誕生日にまたクルーズ船に
山口さんは今後の目標について「65歳までリゾートバイトを続けて、66歳の誕生日からお客さんとして世界一周のクルーズ船に乗りたい」と話します。その後は、これまで行ったお気に入りの旅行先を巡って楽しみたいそうです。
山口さんには、これまでの働き先から「社員にならないか」との誘いもあるそうです。しかし、「子供のころからお店を手伝い、人より長く働いてきた。リゾートバイトに区切りをつけたら、とにかく楽しんで過ごしたい」そうです。
「人手不足が深刻になっていることに加えて、落ち着きのある中高年を求めているリゾートも多い。楽しく働けるところをきっと紹介してもらえる」。取材の最後に、山口さんにリゾートバイトに興味のある中高年の方々にメッセージをお願いしたところ、こんな答えが返ってきました。
温泉巡りをするように働き、世界一周の船旅に思いをはせる山口さんの姿には、中高年の「自由な働き方」「やりがいのある働き方」の見本の1つを見たように感じました。
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