子どもの転落事故を防ぐ 専門家に聞く3つの対策法 【 広島市の高層マンションから女児が転落し死亡】
広島テレビ ニュース / 2024年5月5日 7時0分
4月に広島市内の高層マンションで3歳の女の子が転落し死亡した事故は、女の子が誤ってベランダの手すりを乗り越えたとみられています。子どもの転落事故を防止するための対策について、専門家に話を聞きました。
事故が起きたマンションの24階の住民に、実際にベランダを見せてもらうことができました。大人でも一生懸命乗り越えないと落ちることがない状況なので、どうやったら落ちるのかと疑問を持っていました。鍵の位置は、身長160センチほどの住民の肩の高さにあります。そしてベランダには、強風などで物が落下しないように、物を置いてはいけないという決まりがあり、さらに室外機も内側なので、登っても手すりには届かないと思うと住民は話します。手すりの高さはおよそ1メートル35センチ。警察によると、今回の事故では、女の子が部屋の中にあった台のようなものを、ベランダに持ち出した可能性があるということです。子供が大人の思いもよらない行動を目の当たりにした、別のマンションの9階に住む2歳前の子供の保護者は、気付いたら裸足で出てたこともあったので、鍵をロックして、さらに、外から原始的だが突っ張り棒をするなど対策を取っていると話していました。
日々、子どもの治療にあたる佐久医療センター坂本昌彦小児科医は、4歳児以下の行動には、特に注意が必要だと話します。
■佐久医療センター 坂本昌彦小児科医
「危険予知行動が4歳以下の子供はまだ育ってないですね。窓から身を乗り出せば、落ちるかもしれないというリスクを認知できない年齢なので(転落事故が)起きやすいということです。」
一方、身体能力については侮れない一面もあると言います。
■佐久医療センター 坂本昌彦小児科医
「興味深い研究、実験があって、110センチの手すりを乗り越えられるかどうか、年齢別にみた調査があるんですね。」
東京都が行った実験映像を見ると、4歳児の中にはベランダの手すりに見立てた、110センチの障害物を軽々と登っていく姿が映っていました。さらに、2歳児でも15秒ほどで乗り越えました。別の実験では、3歳児の65%が120センチの手すりを乗り越えるという結果も出ています。
■佐久医療センター 坂本昌彦小児科医
「目を離すなというだけでなかなか限界がある。子どもって、注射もそうだが、気をそらす動きをすると泣き止んだりするんですね。子どもは気をそらせると、別の行動に移る子がいるので、ベランダを開けたらアラームが鳴るようなシステムもありかなと思います。」
今回の事故と、子どもの転落防止策をまとめます。3歳の女の子の身長は、およそ100センチでした。一方、ベランダの手すりは建築基準法で110センチ以上にしなければなりません。事故が起きたマンションのてすりは、およそ1メートル35センチでした。身長173センチの宮脇靖知アナウンサーが横に立ってみても、大人でも乗り越えるのは一苦労という高さです。ただ、先述の実験にもあったように、4歳児以下であれば、このマンションのてすりの高さなら、半数以上が乗り越えることができるという結果が出ています。
では、子どもの転落を防ぐにはどうしたらいいのか、佐久医療センター小児科医の坂本昌彦医師に聞きました。子どもの転落事故が増える理由として、春から夏にかけて暖かくなり、窓を開ける機会が急激に増えるからといいます。転落防止策の1つ目は、ベランダを子供の遊び場にせず、楽しい場所だと覚えさせないようにしないといけないということです。2つ目は、子供が手の届かないところに、鍵を追加することです。備え付けの鍵は、解除される可能性もあるので、安心はできないといいます。別の場所に鍵を追加するのも1つの方法だということです。3つ目は、エアコンの室外機を手すりから60センチ以上離すことです。室外機をよじ登って、手すりを乗り越える可能性もあるので、新しくエアコンを設置する際には注意が必要です。このような対策を1つだけではなく、組み合わせることによって、事故を防ぐことができるということです。
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