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福士蒼汰&松本まりか、勢い増す現在は「すごい成長期」 “分からない”難役への挑戦語る

クランクイン! / 2024年5月18日 7時0分

(左から)福士蒼汰、松本まりか

 福士蒼汰と松本まりかが、映画『湖の女たち』にてW主演で初共演を果たした。高い評価を得た男女逆転『大奥』(NHK総合)や、1月期放送の主演作『アイのない恋人たち』(ABCテレビ・テレビ朝日系)をはじめとした俳優業に留まらず、WOWOWのアクターズ・ショート・フィルム4「イツキトミワ」で脚本・監督デビューを飾った福士と、現在放送中のドラマ『ミス・ターゲット』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で全国ネット地上波GP帯連続ドラマ初主演の松本。ともに勢いを増すふたりは、「自己表現のアンテナが増えている」「いま成長期」と頼もしい言葉を口にした。

■福士「嫌われてるだろうなと」松本「嫌いだった。でも惹(ひ)かれるんです」

 『湖の女たち』は、『悪人』『怒り』の作家・吉田修一の原作を、『さよなら渓谷』以来のタッグとなる大森立嗣監督が映画化したミステリーだ。湖畔の介護施設で起きた100歳の老人の不審死事件をきっかけに、人間の本質が炙り出されていく本作。福士と松本は、刑事(圭介)と取り調べ相手(佳代)としてめぐり合い、支配する側と支配される側という、ゆがんだ関係を深めていく。

――福士さんと、松本さん、お互いが対峙したからこそ生まれたもの、感じたものを教えてください。

松本:みなさんもそうだと思いますが、福士くんは、キラキラした爽やかなイメージでした。圭介はあまりにも違うので、最初、福士くんがどう演じられるのか分からなかったんです。でも最初に取り調べのシーンで対峙した瞬間、「これは!」と思いました。本当に素晴らしかったんです。ゾクゾクっとした感じとか、今まで見たことのある福士くんのイメージとは全然違っていて、変な言い方になりますけど「こういったお芝居の引き出しを持っている人なんだ」と。心をつかまれましたし、ただただ怖かったです。

福士:役柄ではあるのですが、嫌われているだろうなと思っていました(笑)。

松本:そうね、嫌いだった。

福士:あはは。

松本:嫌いなんだけど、どこか惹(ひ)かれるんです。全然好きじゃない、好きじゃないんだけど、もう惹(ひ)かれてしまっている。そういったものが常に同居していました。好きとか嫌いとかを超えた、もっと本能的に、この人に惹(ひ)かれるか惹(ひ)かれないか。今回の圭介という存在と出会って得た、初めての感覚でした。

福士:今回、現場で松本さんと一切会話をしなかったんです。普段は共演者やスタッフの方々と積極的に話すタイプなのですが、今回は違いました。覚悟を持って臨んだ分、お互いに甘えてはいけないという感覚があって。いつものように笑顔を見せたり話しかけたりしたら、圭介は完成しない気がした。でも本来の僕はそうではないので、たまに笑いかけたくなってしまう瞬間もありました(笑)。

松本:あったんだ!

福士:それをぐっと堪えて、圭介でいるというか、サディスティックでいました。意地悪なんだけど、まりかさんにだけ笑顔を見せずにいましたね。大森監督やスタッフさんとは普通にいつも通り話してたんですけど。

松本:確かに! 

福士:嫌われることを覚悟の上で、あえてそうしていました。

松本:とてもサディスティックなんだけど、すごく色っぽくて。いまの福士くんが嘘なんじゃないかと思うくらい。でもそれが本当に魅力的だった。特に最後の湖のシーンとか。

水にぬれた風のヘアメイクをして撮影することもできるけど、それではお互いに納得いかない気持ちがあって。それを直接確認し合ったわけではなかったのに、福士くんが察知してくれて、私を湖に沈めてくれたんです。

福士:沈めたというと、語弊がありますが(笑)。

松本:でもそのサディスティックさは、佳代が求めていたし、私自身ももはや求めていたんですよね。圭介からの発信というよりは、強烈に佳代がサディスティックさを求めていた。そういう共依存関係が多分私たちの間にもあって、笑顔を見せないでと私は思っていたし、福士くんは見せなかった。キャッチし合っていた気がします。

福士:あの瞬間は、完全に圭介と佳代の関係になれていたと思います。

■社会通念を超えた関係性の難役に、2人とも「分からなかった」

――圭介と佳代に近づけたと思う瞬間もあれば、突き放されるような感覚になるときもありました。社会通念を超えた、すべてをさらけ出す覚悟のいる難役だったかと思います。オファーを受けるのに、躊躇(ちゅうちょ)はありませんでしたか?

福士:僕自身、実は不安な気持ちはあまりなかったんです。お話をいただいたときは29歳だったのですが、それまでエンタメ作品へ出演させていただくことが多かったので、本作のようなリアルな世界を描いた作品はずっと挑戦してみたかった。今までとは違った作品、役柄にとても前向きに挑戦することができました。

松本:私は、映画化へのすごい覚悟を持った大森監督に、重要な役を「まりかでいきたい」と言っていただけたことが大きな決め手でした。「やることになるだろうな。やりたい。やるべきだ」と。でも実際に本を読んでみて、拒絶反応がすごかったんです。分からなかったんですよ。この作品が、役が。圭介との関係も理解できなかった。やりたいけれども、できる自信がなかった。逡巡しました。でも本能的に自分が行きたい場所であることと、分からないものに立ち向かって、その先の景色が見たいと思って「やります」と言っていました。

――挑戦してみていかがでしたか?

福士:僕も脚本を読んだとき、抽象画のような印象を受けました。この映画は、池田記者(福地桃子)が追っていく薬害事件や731部隊の話(※)と、圭介と佳代の歪んだ関係性が、実は重なっていて、抽象画と具象画の2つが並べられているようだと感じました。圭介と佳代は抽象的な関係性なので、それをどう表現するかがとても難しかったです。でも演じるにあたっては、伊佐美(浅野忠信演じる、薬害事件のトラウマを引きずる先輩刑事)との関係性や、佳代との関係性だけに集中してお芝居をしました。

※週刊誌記者の池田が不審死事件を探るうち、物語は、過去の薬害事件や、戦時中の旧日本軍731部隊といった歴史の暗部にまで広がっていく。

松本:佳代という役を理解するのは難しかったです。分からないことに立ち向かうこと、挑戦することは恐怖です。私にとってもこの映画は恐怖でしたが、立ち向かうことで得られる深度の深さのようなものがありました。目まぐるしい日々の中で何が美しいかとかも分からなくなっていました。でもこの映画に向かうには、人間の本質、自分の本質に対峙しなくちゃいけない。役者としても、極限状態でした。

――限界に。

松本:でもそのとき、今まで見た景色の中で一番美しい景色を見たんです。ラストの朝焼けのシーン。スタッフさんたちが逆光で朝日を撮っているとき、その光景がすごく美しくて、「ここにいたい」と明確に思えました。自分の限界に挑戦しないと見られない景色だったと思います。この映画も、人間のものすごくインモラルな、閉じているところを炙り出すような作品で、そこを観なくちゃいけない。社会性という仮面に隠された本質が見えてしまう映画だと思います。頭で理解できないし、理屈じゃない。体で感じる映画だと思います。

■新たな挑戦をし続ける福士と松本は「すごい成長期」

――“挑戦”という話が出ました。福士さんは本作を受けた頃、「違うことをやりたいと思っているタイミングだった」と。このところの福士さんは、圭介役へのチャレンジはもちろん、海外作品に出演したり、監督として演出を手掛けたりと、まさに新たな挑戦をしています。何かを得た感覚はありますか?

福士:本作を通じて、お芝居をより楽しいと感じました。一方で初めて監督業にも携わってみて、作品をゼロから作り上げることへの充実感も忘れられないくらい楽しかったんです。僕はもともと興味の範囲が広いのですが、今は特に自己表現へのアンテナが増えていて。興味が広がりすぎてしまわないように、コントロールしていきたいと思っています!

――松本さんはデビュー25年目です。本作で限界にも挑戦しました。これから先の「俳優・松本まりか」をどう見せていきたいですか?

松本:どう見せたいかなんておこがましいですが、ここから「変わる」とは思っています。演技の仕方に変化が出てくるだろうなと。これまで役に対して感性でやっていた部分が強いんです。でもそうじゃないやり方をやってみようと思って、実際始めているんです。だから伸びしろを感じています(笑)。

――「見ててください」という感じでしょうか。

福士:僕はかっこいいと思います!

松本:いやいやいや、そんなこと言えないです。だけど、25年目でも成長し続けようと。いま、すごい成長期だと思っているので、ここからどう変われるか、試されているなと。どんどん変わって、どんどん新しい景色を見ていきたいと思っています。

 さらにアンテナが増えていると言う福士に、自身の伸びしろを感じていると語る松本。本作でのふたりは、観客にとっても新たな発見だが、前を向くふたりは、これからまだまだこちらにも未知の景色を見せてくれるだろう。(取材・文:望月ふみ 写真:松林満美)

 『湖の女たち』は公開中。

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