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プロに聞いた!クルミの選び方や保存方法。栄養価の高いナッツとは?【専門家監修】

イエモネ / 2023年12月2日 7時30分

iemone.jp

クルミはパンやケーキやクッキーなどによく使われている、馴染みのあるナッツ。近年では「栄養価の高い食品」として需要が高まり、売り場に行くと「素焼きクルミ」「無塩クルミ」「生クルミ」「殻付きクルミ」など、さまざまな種類のクルミが販売されています。この記事ではクルミの選び方、栄養、保存方法などを紹介します。



【特徴】約9割がカリフォルニア産。国産は冬〜春に出回る



クルミはクルミ科クルミ属で、種の中の仁(じん)と呼ばれる部分を食用とするナッツ類の一種です。



原産地はイランで、北半球の温帯地方を中心に分布。世界で数百種あると言われており、代表的な品種は殻が割りやすく可食部の多い「ペルシャグルミ(セイヨウグルミ)」です。



クルミは紀元前7000年頃から食され、人類が口にした「最古のナッツ」と考えられています。やがてヨーロッパやアメリカにも伝わり、19世紀半ばからアメリカのカリフォルニア州で栽培を開始。今や世界の生産量の2/3を占めるまでに発展しました。



日本では「オニグルミ」や「ヒメグルミ」といった品種が自生し、縄文時代には食されていたようです。栽培品種としては、江戸時代に中国からペルシャグルミの変種である「テウチグルミ(カシグルミ)」、明治時代以降にアメリカからペルシャグルミが伝来したとされています。



現在日本で流通しているクルミの約9割がカルフォルニア産のペルシャグルミです。国内では、ペルシャグルミとテウチグルミを交配させた「シナノグルミ」と、テウチグルミの主に2種を長野県や東北地方で栽培。9〜10月頃に収穫されたものが、冬〜春にかけて販売されます。



【選び方】殻の有無・ローストの有無・味付けの有無で選び分けて



クルミを購入する際にはいくつか選択肢があります。



■「殻なし(むき身)」か「殻付き」

クルミの脂質は空気に触れると酸化しやすく、殻付きの方が酸化を防いでフレッシュな状態をキープできます。



しかし、殻付きクルミは輸入が禁止されているため、流通しているクルミの大半はむき実。むき実のクルミは割れた断面から酸化しやすいので、できるだけ割れていないものを選ぶといいでしょう。



殻付きは国産品で、冬〜春にわずかに流通します。殻付きを味わいたい人は、取り寄せるか産地で購入してみて。



■「素焼き(ロースト)」か「生」

スーパーなどでは素焼き(ロースト)タイプが主流ですが、生タイプも販売されています。



素焼きタイプはカリッと軽い食感や香ばしい風味を楽しみたいとき、生タイプはしっとりとやわらかな食感や甘みを楽しみたいときと、選び分けるといいでしょう。



■「油」や「食塩」を使用しているか

素焼きタイプには、よりおいしく、食べやすくするために油や食塩を使用しているものがあります。



クルミ本来の味を楽しみたいときや、健康や美容のためにクルミを食べたいときは、油や食塩不使用のものがいいでしょう。



【保存】むき実は密閉して冷蔵or冷凍を。殻付きは冷暗所へ



クルミの保存で最も注意したいのは「酸化」です。



むき実のものは、未開封ならそのまま、開封済みのものは保存袋でしっかり密閉して冷蔵庫のチルド室か冷凍庫で保存を。冷蔵なら1〜2か月、冷凍なら3か月〜半年程度保存可能です。くるみがにおいを吸収しやすいため、保存の際には魚などにおいの強いものの近くに置かないようにしてください。



冷凍したものを使うときは、自然解凍するか、フライパンで香りが立つまで乾煎りしましょう。



ただし、冷蔵や冷凍で保存しても保存状態によっては酸化が進みます。食べる前に「油っぽい匂いや、ペンキのような匂いがしないか」を確認し、違和感を感じたら食べるのを控えましょう。



殻付きクルミを入手したときは、直射日光の当たらない冷暗所で保存を。保存状態が良ければ1年以上もつとされています。ただし、環境によっては虫食いやカビなどが発生することもあるので、早めに食べるほうが無難です。



【栄養・効果】αリノレン酸が豊富。高血圧や老化の予防に



クルミ(煎り)の可食部100gあたりのエネルギーは713kcalで、1粒(約4g)あたり約29kcal。良質な脂質やたんぱく質が豊富で、ビタミン、ミネラル、食物繊維もバランスよく含んだ栄養価の高いナッツです。



中でも特筆すべきは、「オメガ3脂肪酸」の一種である「αリノレン酸(ALA)」を豊富に含んでいることです。



オメガ3脂肪酸は、植物由来のαリノレン酸や、青魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの、健康維持に必要な脂肪酸の総称。体内で生成できないため、食品から摂取しなくてはいけない必須脂肪酸です。



αリノレン酸には血液の流れをスムーズにする働きがあり、不足すると脳や神経、皮膚などに影響を及ぼします。きちんと摂取して、高血圧や動脈硬化、老化の予防に役立てたいですね。



αリノレン酸は熱に弱いため、効果を十分に得たいときは加熱していない生クルミがおすすめです。



1日に必要なオメガ3脂肪酸の量は、成人で2g前後。ひとつかみ(約28g/7粒分)のクルミからは2.5gを摂取できます。エネルギーが高いので食べ過ぎないように、1日6〜7粒を目安にすると良さそうですね



【食べ方】スイーツやくるみそばに。アイスやサラダ、和え物に加えても



クルミは間食やおつまみとしてそのまま食べたり、パンやケーキやクッキーなどに加えたりすることが多いでしょう。



そばつゆにクルミのすりおろしやペーストを溶いていただく「くるみそば」、しょうゆ風味の甘い餅菓子の「くるみゆべし」を作って楽しんでいる人もいます。



他には、シリアルやヨーグルトやアイスのトッピングにしたり、細かく砕いてサラダや青菜の和え物に加えたりするのもおすすめ。乳製品やドレッシング、マヨネーズともよく合います。



【殻の割り方】クルミ割り器がなければマイナスドライバーで 

殻付きクルミを入手したときは、かたい殻を割る必要があります。クルミ割り器は100円ショップなどでも購入できますが、マイナスドライバーで殻を開ける方法もあります。



 



■簡単な殻の割り方 

1.殻付きクルミをしっかりとかぶるくらいの水に2時間〜一晩浸ける。



2.水から上げて水気をしっかり拭き取り、フライパンで乾煎りする。



3.殻のつなぎ目に隙間ができてきたら火から下ろし、粗熱を取る。



4.隙間にマイナスドライバーを差し込んで殻を開ける。



5.アイスピックなど先の尖ったものをクルミに差し、殻から取り出す。



殻付きから取り出したクルミや市販の生クルミはそのままでも食べられますが、栄養面を考えると浸水(ソーク)してから食べるのがおすすめ。



生クルミには酵素の作用を阻害して栄養素の吸収を妨げる酵素抑制物質が含まれているため、浸水することで酵素抑制物質を中和することができます。



浸水の方法は、生クルミをしっかりとかぶるくらいの水に浸け、2時間程度置くだけ。変色した水を捨ててきれいな水で洗い、乾かしてからいただきましょう。



監修:食のスタジオ(https://www.foodst.co.jp/index.html)
レシピ開発だけでなく、コーディネートや撮影、編集、栄養アドバイスまで手がける食のプロ集団。健康・美容・介護食・離乳食などの専門レシピまであらゆるカテゴリーに対応。監修や編集を手がけた書籍は約100冊にも及ぶ。



栄養監修:内山由香
「食のスタジオ」管理栄養士、フードコーディネーター。女子栄養大学卒業後、食のスタジオにてレシピ開発、料理撮影、栄養計算等の業務を担当。作りやすく、子どもから高齢者まで食べやすい家庭的な料理やつくりおきレシピが得意で、忙しい人でも身近な食材で簡単に作れるレシピを多く開発している。『しっかり食べてきれいになる たんぱく質のつくりおき&らく旨おかず』『組み合わせ自由自在つくりおきシリーズ』(西東社)『朝10分!中高生のラクチン弁当320』(学研プラス)など著書多数。



[All Photos by shutterstock.com]




https://iemone.jp/article/lifestyle/kaori_simon_456458/

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