リアル・マイケルジャクソン [Vol.23]_1996年HISTORYツアーinパース_涙の記念撮影! ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話~
インフォシーク / 2013年2月7日 17時30分
11月29日の早朝、わたしはパースに到着した。
ああ、なんという青空(泣)!
湿度のまったくないカラリとした街の空気は、世界中から観光客が訪れるリゾート地そのものだ。
空港から、マイケルが宿泊する「ラディソン・オブザベーション・シティ&リゾートホテル」に直行し、チェックインの手続きをする。高層階の部屋の窓からは、スカボロビーチの絶景が広がり、いままでのアジア諸国とは違う、なんとも優雅な趣だ。
思わずベッドにごろりと横になりたい気持ちを抑えつつ、さっそくわたしはロビーに向かった。
ちょうどツアースタッフの面々が1Fのレストランで朝食をとっていたため、知り合いを探しつつ、わたしも朝食をとることにする。
「ハーイ!」声をかけられ振り返ると、そこにはビデオクルーのジョーがいた。
彼は、長年マイケルのビデオクルーを担当しているベテランで、穏やかな「お父さん」といったキャラクターだ。いいところでジョーに会えた!早速わたしは挨拶を返し、マイケルはいつ到着したのか、マイケルは元気かなど、いくつか質問をし、ジョーはそれに答えてくれた。
そうか、マイケルは昨日到着したのか。(おしい!)元気そうならよかったー。
その後ロビーに移動し、いつものようにエレベーターが見えるソファを陣取って座り込む。
まだ時間が早いせいか、ロビーは思いのほか閑散として、ファンや関係者らしき姿もない。
(早くマイケルに会いたいなあ~。今日は出かけたりしないのかなあ~。)とぼんやり思っていたら、唐突にエレベーターが降りてきて、中からマイケルとウェイン、関係者数名が出てきた!
(??マ、マイケルだー!)
反射的に身体が動き、さささーっとマイケルに向かって小走りで近づく!
「マイコー」と声をかけると、マスクをしたマイケルの目が驚いたように見開かれ、手を差し出して握手してくれる。持っていた手紙を渡すと、歩きながら受け取ってくれ、そのままマイケルはエントランスを出てどこかに出かけていった。
あまりに突然のことで、追いかけるのも忘れてわたしはボーッとしてしまった。パースって、こんなに簡単にマイケルに近づけるの?パースにファンはいないのか?
結局、そう思ったのは間違いで、実はホテルの外には大勢のオージーファンが集まっていた。ホテルの警備が思いのほか厳しく、宿泊していない彼らは中に入ることができなかったのだ。そのままロビーで待っていると、あっというまにマイケルは戻ってきた。
帰りは警備の数も増えたため、大人しくソファに座ったままエレベーターに乗り込むマイケルを見送った。
しばらくすると、現地の関係者が5~6人やってきて、「ここに座ってもいいですか?」と、わたしが座っているソファーコーナーを指差す。
「もちろん!」と答えると、彼らはソファに座り、喫煙しながら雑談を始めた。彼らは地元のリムジンサービスのスタッフで、マイケル一行のドライバーを担当していたのだ。
そのうち、となりに座っているスキンヘッドでちょっと強面の関係者(マイケルのドライバーだった!)が、「あなたはJTBのツーリストですか?ここへは観光で来たんですか?」とニコニコしながら質問をしてきた。
そこで、マイケルの追っかけの遍歴について簡単に説明すると、彼らは大いに驚いた。
「マイケルジャクソンに会うために日本から?」「イエス!」「本当に?」「本当です」
どう見ても普通のOLが、マイケルを追って世界中をまわっていることに心底驚いたらしい彼は、突然ケータイでどこかに電話をし、そのままケータイをこちらに手渡した。
「?」
いいから話しなさい、という彼に従って電話に出ると、相手は日本人の女性で、なんと彼の奥様だった!
「よく聞いてください。このあとマイケルは○○ブックストアと××に出かけるそうです。頑張ってくださいね!」
わたしはようやく理解した。彼らは、ささやかながら、日本のOLファンを応援しようと決めたのだ。わざわざ日本語で行き先を教えてくれようとする心遣いに、わたしは思わず泣き出してしまった。
「サンキュー」と泣きながらいうと、彼らは「OK、OK」と笑顔で励ましてくれた。
結局、その日の外出は直前でキャンセルとなり、7泊8日の滞在をとおして、2度のコンサート以外、マイケルがプライベートで外出したのは数えるほどしかなかった。
よって、わたしもドライバーのみなさんもすっかり暇をもてあまし、しょっちゅう一緒にお茶をしていた。
彼らがホテルで待機しているということは、マイケルも外出せずホテルに居るということで、これ以上安心なことはなかった。
夜になると、ハミードやジョーなど、顔見知りのスタッフが代わる代わるやってきては、向かいのソファに座り込んでいろんなことをおしゃべりしていった。
長いツアーで、ちょうど彼らも暇つぶしの相手が欲しかったのかもしれない。
パースでの時間は、そんな風に、ひたすらゆるく、まったりと流れていった。
マイケルとは3回ほどロビーで会えて、日に日に増えていく関係者に揉まれながらも、名前入りのサインを書いてもらったり、長い手紙を渡すことができた。
そして、12月4日のコンサートの後、ついにわたしはマイケルと写真を撮ることができた!ホテル前のロータリーで、大勢のファンの前を歩き回り、サインをしたり握手をしていたマイケルと、最後の最後にハグ&記念撮影ができたのだ。
コンサートを終えたばかりのマイケルはゴキゲンで、いつにも増してハイテンションだった!
わたしは隣にマイケルがいるシチュエーションに大泣きしながら、あれも話したい、これも見せたい、とアタフタし、マイケルは笑いながら一つずつ答えてくれた。前から思っていたけれど、マイケルは、自分から立ち去ったり、話しを切り上げるということを、本当にしない人なのだ。
「風が冷たくなってきたから、そろそろマイケルは中に入るよ」とヤニックが声をかけるまで、マイケルはこちらの支離滅裂な話につきあってくれた。
その後、地元のTV局がやってきて、「マイケルと写真が撮れてどうだった!?」と目の前にマイクを突き出され、わたしは涙と鼻水にまみれてインタビューに答えた。
腕や洋服には、マイケルの香水のにおいがいつまでも残っていた。
写真を現像してみると、初めてマイケルと撮った写真は、とても人様にはお見せできないヘンな顔で、EちゃんYちゃんの写真が神がかって見えた。そして、わたしは大いに反省した。
次に写真を撮る機会があったら、泣かないで、ちゃんと笑おう!
ゆるい中にも、凝縮された思い出がいくつも出来たパースでの追っかけを終えて、12月5日、わたしはEちゃんYちゃんが待つマニラへと飛んだ。
【バックナンバー】リアル・マイケルジャクソン ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話
[Vol.22]_1996年HISTORYツアーinブリスベン_コンサート前に記念撮影!
[Vol.21]_1996年HISTORYツアーinシドニー_初めての記念撮影!
[Vol.20]_1996年HISTORYツアーinバンコク_コンサート&ミリタリー撮影現場へ!
[Vol.19]_1996年HISTORYツアーinバンコク_突然の撮影会で号泣!
[Vol.18]_1996年HISTORYツアーinバンコク_3連休で急遽バンコクへ!
コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。
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