「HIROEN」でタイム・マネジメントを見直す/フランクリン・ プランナー
INSIGHT NOW! / 2023年10月13日 17時3分
フランクリン・ プランナー / フランクリン・プランナー
適切な目標を設定できたら、次は目標の達成に向けてタスクを設定していくことになります。
タスクを設定する際に参考にしたいフレームに、「HIROEN(ヒロウエン)」があります。HIROENとは、30年ほど前に、小林忠嗣氏が、著書『知的生産性向上システムDIPS(ディップス) 』のなかで提唱したもので、「ヒロウエン」というキャッチ―な響きもあり、一時注目を集めました。
現在は、それほど知名度は高くありませんが、業務効率化や生産性向上のためのタスク・マネジメントのツールとしては秀逸であり、コロナ禍を経て、改めて見直してみたいフレームワークです。
HIROEN(ヒロウエン)とは、私たちが行う活動(仕事)は、必ず6つのレベルのタスクに分けることができるというもので、それぞれの頭文字をとったものです。
H:Hear(聞く)
I:Inform(伝える)
R:Request(依頼する)
O:Operate(作業する)
E:Examine(調べる)
N:Negotiate(交渉する)
タスクを計画する際に、このどれにあてはまるのかを考えたり、それぞれの項目ごとに計画をしたりすれば、時間の効率化、作業忘れなどを防ぐことにもつながります。ひとつひとつ見ていきましょう。
H:Hear(聞く)
「聞く」とありますが、目的が聞くことではなく、理解することです。「理解する」と置き換えて考えてみましょう。仕事のミスや結果の低評価は、この段階でのミスが大半を占めます。そもそも、仕事の意味、目的、期待の明確化がおろそかであることが、結果のまずさを招いてしまいます。この「Hear」のタスクをきちんと経て仕事に向かっているかどうか、確認することが重要です。
ニーズ確認の作業は面倒なことです。相手にとっては「もう言った」と感じることもあるかもしれませんが、改めて確認することで、仕事の依頼者側も、前提となる与件が間違っていたことに気づくことも少なくありません。
I:Inform(伝える)
自分の力で仕事を頑張り、満足いくアウトプットができたとしても、誰の理解もないままでは、それは仕事とは言えません。
仕事のトラブルのなかで、「私は聞いていない」という言葉は、もっとも聞きたくない言葉のひとつではないでしょうか。きちんと伝えなかったばかりに、余計なトラブルを起こしてしまうことは少なくないでしょう。その仕事の依頼者に伝えるのはもちろんですが、他部門や同僚、先輩、その仕事の結果を知るべき人は誰で、自分の責任範囲のなかで、どこまで伝えなければならないかを押さえておきましょう。日本固有と言われる「根回し」もこれにあたるかもしれません。
R:Request(依頼する)
仕事は一人で完結できるものはほとんどありません。この後出てくる「Operation」自分で何かを作業する場合、事前に誰かに依頼しておかなければならない仕事が大半のはずです。商品企画に所属しているならば、見積りの依頼やテストマーケティングの依頼、デザインの依頼など、自分の作業の前に依頼しておくことはたくさんあります。
自分ではできない依頼事項には何があり、いつ行うのかを定めることは、計画には必須の事項です。
O:Operate(作業する)
ほとんどの人の「タスク・リスト」には、この「Operate」の内容が列挙されているはずです。作業のなかでももっともわかりやすいタスクだからです。
通常は、この自分の行うべきタスクをこなすことができれば、仕事として最低条件はクリアすることになります。ただし、この「Operate」では、時間とクオリティが問題となります。最初に紹介した「Hear」によって期待されていることを確認した上で、必ず時間内に提出する必要があります。まさに、タイム・マネジメントの世界です。
E:Examine(調べる)
「Examine」とは、調べる、観察するという意味ですが、仕事においては、「内容を精査する」「事実をつかむ」「理由を分析する」といった意味として捉える必要があると思います。
たとえば、自社製品の売上が悪く、至急、拡販計画を出す必要が出た場合、やみくもに案を出すだけではなく、そうなった理由を調査し、分析し、仮設を持った上で、アイデアをまとめることが必要になります。
ある意味、ここがビジネスセンスの発揮どころだと言えるでしょう。
N:Negotiate(交渉する)
「Negotiate」は、いわゆる「交渉」という意味ですが、仕事的には、「うまく切り抜ける」「折り合いをつける」といった意味も含みます。
ビジネスにおいては、すべてのことがある意味競争です。「良い商品をつくる」「良い企画をつくる」ことも重要ですが、その商品や企画を通さなければなりません。
自分の仕事の結果を最大限にするためにも、「Negotiate」の場をあえてつくることも必要となります。日本人ビジネス・パーソンが苦手としているスキルかもしれませんが、進めてきた仕事が無駄にならないためにも交渉は必要です。
優先順位
紹介した「HIROEN」の6つのタスクをよく見ると、自分の力でなんとかできるのは、Operate(作業する)とExamine(調べる)だけだと分かります。
この2つ以外は他者が関係します。他者が関係するということは、スケジュール、仕事の目的、内容を正確に伝える必要があり、さらに、自分の作業の前に行う必要があります。
タイム・マネジメントの観点でいえば、まず行わなければならないことは、「HIR」そして、「N」ということになります。「N」は最後とはいえ、あらかじめスケジュールを押さえておくべきだということは言うまでもありません。
テレワークを行う場合は、さらにこの「HIROEN」は有効でしょう。テレワークでは、密なコミュニケーションが取りづらくなりますので、「HIR」を入念に行う必要があります。このプロセスを念頭に置いて仕事を組み立てることができれば、アウトプットの質は確実に高まるでしょう。
引用元:フランクリン・プランナー https://www.franklinplanner.jp/mag/
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