伊藤忠「フレックス制をやめて朝型勤務に」 それから10年で起きた変化
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月17日 7時0分
2010年に働き方改革に着手した(同社提供資料)
●連載:徹底リサーチ! あの会社の人的資本経営
近年、注目される機会が増えた「人的資本経営」というキーワード。しかし、まだまだ実践フェーズに到達している企業は多くない。そんな中、先進的な取り組みを実施している企業へのインタビューを通して、人的資本経営の本質に迫る。インタビュアーは人事業務や法制度改正などの研究を行う、Works Human Intelligence総研リサーチ、奈良和正氏。
「厳しくとも働きがいのある会社」という人材戦略を掲げ、大手総合商社の中でも単体従業員数は最少という状況下で、労働生産性を着実に向上させてきた伊藤忠商事。
同社の人材戦略や働き方改革に関する取り組みを人事・総務部 企画統轄室長岩田憲司氏にインタビュー。インタビュアーは人事業務や法制度改正などの研究を行うWorks Human Intelligence総研リサーチの奈良和正氏が務めた。前編では、伊藤忠商事が人事制度変革の“失敗”を経てどのように変わったのか紹介した。
中編となる今回では、伊藤忠商事の働き方改革基本方針や、それを支える人事制度について取り上げる。同社が取り組む働き方改革の中身とは。また2013年にフレックス制度を廃止し、朝型勤務制度や朝食の無料提供の取り組みを始めたのには、どのような背景があったのか。それから約10年が経過したが、どのような変化が起きているのか。
●「競合より社員が少ない」からこその働き方改革
奈良: まずは、00年ごろの失敗を踏まえて10年から着手された働き方改革推進における当時の基本方針のようなものがありましたらご紹介いただけないでしょうか。
岩田: はい。働き方改革で目指したのは、(1)社員一人ひとりが他商社よりも力を発揮できること(2)目指す姿勢を「厳しくとも働きがいのある会社」とすること(3)成果を挙げて社員を含む全てのステークホルダーに還元していくこと(4)定量的な目標を「労働生産性」とすること(5)「三方よし」にのっとった改革とすること、の5つがあります。
先ほど申し上げました通り、他商社と比べて従業員数が少ないこともあり、(2)目指す姿勢を「厳しくとも働きがいのある会社とすること」は、当社独特の目標だと思っています。
創意工夫が必要ですし、一人一人が頑張って力を発揮しなければなりませんが、一方で頑張った分は給与で還元します。
例えば海外の都市に行っても、駐在員の数は(競合他社に比べて)少ないんですよね。でもやることはおおよそ一緒なので、見方を変えれば若手中堅でも責任ある仕事、あるいは高い役職に早く就けるということです。
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