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銅よりも高い……「カカオショック」勃発で“チョコレートは贅沢品”になるのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月24日 7時0分

 カカオ価格が決定されるプロセスは、国際的な供給と需要のバランスに大きく左右される。一部の製造業者は、高価なカカオ豆の代わりに代替素材を使用する動きもあるが、価格の高騰が急激であるがゆえに消費者の間でもさほど浸透しておらず、抜本的な解決策とはなっていない。

 カカオ価格の高騰は、チョコレートの小売価格にも影響を及ぼしている。消費者は、より高価格のチョコレートに対して消極的になる可能性があり、これにより特定の価格帯の製品に対する需要が変動する可能性がある。また、消費者は品質に対する価値を見直し、価格の安い別のお菓子へと移行する傾向があるため、メーカーとしてもグミやキャンディーなど、チョコレートを使わない製品に需要が集中することを見込んで生産量を増加させる対応を取ることが考えられる。

 カカオの異常な価格高騰は、新型コロナウイルスの流行などにより木材価格が高騰した「ウッドショック」と重なってみえるが、その影響は長期にわたるのか。

●「ウッドショック」と比較する

 ウッドショックは、新型コロナウイルスの流行などにより木材価格が高騰した状況を指す。この問題は21年3月に深刻化し、ロシアの経済制裁、コロナ禍による生産・物流の停滞、米国の住宅建築需要の増加、日本の木材自給率の低さなど複数の要因が重なって発生した。

 現在は木材価格がピーク時より下落しているものの、日本では国内木材自給率が依然として低いため、輸入木材頼りの状況が続いており、価格は高い水準で推移している。

 CME材木先物によれば、4月2日午後5時(日本時間)時点の価格は586ドル。ピーク時の1500ドルと比較すれば3分の1まで下落しているが、ウッドショック前の300~400ドルの価格帯に対して約1.5~2倍程度の高騰が続いていると分かる。

 コロナが終われば解決するとも考えられてきたウッドショックは、アフターコロナにおいても継続中といって差し支えない状況だ。カカオショックも長期化するのだろうか。

 ウッドショックとカカオショックは、それぞれ木材産業とカカオ産業における価格高騰を指す用語だが、背景や影響において共通点と相違点が存在するため、それぞれを整理したい。

 まず共通点についてであるが、ウッドショックもカカオショックも、共に供給面の問題が価格高騰の主要な要因である点に注目したい。ウッドショックは、環境保護政策や過剰な伐採による木材供給の制限、さらにはパンデミックに伴う生産・輸送の遅延が原因で発生した一方でカカオショックは、気候変動や病害虫の影響による収穫減少で発生している。

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