スーパー再編の大一番 首都圏を勝ち取るのはイオンか、セブンか それぞれの勝ち筋とは
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月7日 8時0分
●スーパーの主戦場、首都圏の今後は?
スーパーの主戦場である首都圏の争奪戦は、これからさらに本格化するだろう。なぜなら、西友本体の争奪戦が始まるからである。
西友は長らく業績を開示せず、水面下で再建を進めているようなイメージだった。2023年2月期については、売り上げ6647億円、経常利益270億円(経常利益率4%)と報じられており、再建にメドがついたとしていた。西友の85%株主が不動産ファンドである以上、西友の分割または一括売却が始まるということを意味しており、その後、北海道、九州売却の報道に至る。ファンドにとって投資先の業績改善とは「売り時が来た」を意味するからだ。
会社は「これ以上の分割譲渡は考えていない」とコメントしていたが、これは現時点の話だろうし、分割せずに全部売却を否定してもいない。今残った西友の売上規模は約5400億円。その多くが3大都市圏にあり、中でも首都圏がかなりを占めている。この西友が誰につくかで、業界勢力図はかなり変動することになる。
●「まいばすけっと」が画期的なワケ
首都圏の争奪戦において、USMHという1兆円スーパーが注目されるイオンだが、まいばすけっとを成立させたことこそ、業界史に残る実績かもしれない。ほぼ東京23区と京浜間にしかないコンビニサイズの店だが、スーパーとして必要最低限の商品を備え、価格も安いため徐々に浸透。今では1000店舗以上に拡大している。
まいばすけっとが一般的な食品スーパーと違うのは、商品を流通加工するバックヤードを持っていない点だ。商品はセンターで加工後に配送され、店舗は陳列するだけ、という仕組みで運営されている。そのため、まいばすけっとは少ない店舗人員での運営が可能となり、店舗当たりの売り上げは2.1億円なのに黒字、というローコストオペレーションを実現している。これは労働集約的な食品スーパーにとっては画期的なことであり、今後の首都圏争奪戦を勝ち抜くための重要なノウハウなのだ。
●まいばすけっとに挑むセブン&アイ
首都圏の人口密集地に出店する場合の課題は、「相応の広さの場所がない」「場所があっても地代が高い」の2点。バックヤードをほとんど持たないまいばすけっとのようなタイプなら、売場当たりの地代を下げることができる。損益分岐点を下げることで、出店余地を拡大することも可能だ。
狭小なのに地代が高い首都圏では、大量出店するためにセンター型オペレーションと物流網を構築するノウハウと資金力が必要となる、ということを最初に実証したのは最大手イオンでありまいばすけっとだった。そして、このまいばすけっとに挑戦しようとしているのが、もう1つの大手セブン&アイである。
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