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明太子の老舗「ふくや」社長に聞く コロナ禍でも売上2割減にとどまった理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月18日 10時35分

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明太子の老舗、ふくや・川原武浩社長

 「観光関連が厳しい。その中にはビジネス出張の方々を含んでいますが、そこはもう戻らないだろうと思います。リモートワークの環境も整備されていますし。例えば、毎月福岡に仕事で来ていた人が4回に3回はリモートでいいとなる。今後はかなり減っていくでしょうね」

 こう吐露するのは、福岡市の食品メーカー・ふくやの川原武浩社長。コロナ禍で事業環境は一変した。

 福岡名物といえば「明太子」(めんたいこ)。その発祥がふくやだ。

 創業は1948年。川原社長の祖父・川原俊夫氏が博多区中洲で食料品卸の会社を立ち上げ、翌年には明太子の製造、販売を始めた。当初は地元客が中心だったが、次第に出張などで福岡にやってきたビジネスパーソンが買い求めるように。そして1975年3月、新幹線が博多駅まで延伸したのをきっかけに、福岡の名産品として一気に全国に広まった。

 このように、歴史をひもとけば観光関連で成長した会社である。だからこそコロナ禍の影響は避けられなかった。現在、インバウンドを含めて福岡の観光需要は戻りつつあるものの、以前のような期待感はないという。

 「2019年と同様に福岡空港の発着回数はもう一杯一杯ですが、航空機の小型化が進み、以前のような規模の人数がいっぺんに来ることはないですね。海外便も同じです。航空機が突然大きくなる方向にはいかないでしょうから、簡単にコロナ禍前に戻ることはないと思います」

●コロナ禍でも売り上げ2割減にとどまった理由

 では、コロナ禍で同社のビジネスは壊滅的に落ち込み、もう打つ手なしという状況なのか。実際にはそうではなかった。もちろん局所的には大打撃を受けた。太宰府天満宮、福岡空港、博多駅などの店舗は売上高が19年比で約7割減と苦しんだ。

 ただし、会社全体では2割減に踏みとどまった。多くの名産品を扱うような会社では、売り上げが半減したという話をよく聞く。ふくやが耐えた要因はどこにあったのだろうか。

 一つは卸ビジネスが好調なこと。とりわけキャッシュアンドキャリー(C&C)業態のスーパーマーケットなどで商品が売れていて、コロナ禍前の数字を超えているという。

 売れ筋は瓶詰や缶詰の明太子。これらは川原社長が17年4月に社長就任する前に手掛けた商品である。生の明太子は日持ちがせず、冷蔵が必須。そこで保存が利き、かつデリバリーなども容易なものを目指した。15年にツナと明太子の漬け込み液を組み合わせた缶詰を、翌年には明太子の粒を油漬けした缶詰を発売した。

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