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クルマの価格はまだまだ上がる? 下がる要素がとても少ないワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月17日 6時5分

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まだまだ上がるの? クルマの価格

 クルマの価格が高くなったという声をよく聞く。軽自動車で200万円超えは当たり前、普通車なら500万円を超えていてもリーズナブルという表現をするメディアも見かける。

 それはある意味では正しい。しかし、本当にそうだろうか、という考えも頭をよぎる。なぜなら比較する領域があまりに狭く、クルマの過去と未来を考えていないからだ。

 以前と比べて社会保険料の負担が増加し、可処分所得が減少していることも影響しているのだろうが、庶民にクルマを買う余裕がなくなっていることは事実だ。

 国内でクルマの価格が高くなった理由はいろいろある。原料である鉄やアルミ、プラスチックなどが高くなったことに加え、昔と比べクルマに要求される要素が複雑になり、その性能の要求レベルが高くなったことも影響している。

 コンピュータによるシミュレーションを使った開発も進んでいるが、最終的には現物のパワートレインや車両の試作は避けられない。試作を専門に請け負う企業も存在するが、そうした企業も売り上げ減少により、試作以外の少量生産などに業務を拡大し始めたところもある。

 国内の自動車市場が縮小している昨今、国内向けのクルマを生産するコストが上昇してしまうことも相対的にクルマの価格を押し上げている。今後、クルマの価格はどうなっていくのか、考えたい。

●高度成長期のクルマは安かった?

 日本で最初に普及したクルマ「スバル360」は36万円だったと言われている。これだけ聞くと安く思えるが、大卒の初任給が1万円だった頃の36万円、つまり給料3年分の金額だ。

 それと比べれば、いかに現在の軽自動車が安いか分かるだろう。200万円を超えるといっても、大卒の初任給は22万円を超えるほどになっている。社会保険料などの負担も大きいが、1年分の給料で買える金額というのは、安いと言える。

 そんな高度成長期と比べるのはナンセンスだという考えもあるだろう。ではバブル期の国産車はどうだったか。

 現在でも人気のあるトヨタ「カローラレビン AE86型」は、当時の新車価格が160万円ほどだった。安いと感じる人も多いだろうが、当時のスポーティカー、それもカローラクラスではエアコンもオプション、グレードによってはパワーステアリングも付いていない(ステアフィール重視の競技ベース車両)ようなクルマだ。ABS(アンチロックブレーキシステム)なんて付いていないし、ましてや衝突被害軽減ブレーキなんてものは影も形もない。

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