[相川俊英] 【公職選挙法を改正し“新規参入”を】~統一地方選2015総括~
Japan In-depth / 2015年5月5日 23時0分
人口減と一極集中の加速により、いまのままでは消滅してしまう恐れのある自治体が全国各地に生まれている。そんなお先真っ暗な状況を打破すべく「地方創生」が叫ばれてきた。4月の統一地方選はそのための貴重な一歩となるはずだった。これまでと同じ発想や政策では地方はもはや生き残れず、新たな道を自力で模索し歩むしかない。それには首長や議員のメンバーチェンジが必要となる。旧来の人たちに任せていては同じ結果にしかならないからだ。
しかし、統一地方選の結果はこれまで通りを選択するものとなった。軒並み戦後最低の投票率(東京の区長選を除く)に終わり、無投票も続出した。町村長選では4割以上が無投票となり、町村議選では定数の2割強が選挙なしで当選した。現職(その後継者を含む)がポストを維持する傾向が続いている。
だが、現状維持を望む民意のあらわれと考えるのは早計だ。そうではなく、新人が当選しにくい構造が出来上がってしまっているのである。地方選挙は現職が圧倒的に有利に立つ、いわばハンディマッチとなっている。例えば、現職議員の多くは議員(政治)活動という名目で、4年間ひたすら集票活動に血道をあげていく。地盤(組織)の保守点検に日常的に努め、さらにはその拡張に懸命なのである。選挙の告示日など全く関係ない。つまり、常在戦場だ。
一方、新人は公職選挙法の様々な規制に縛られる。事前運動はできず、選挙期間はわずか1週間(一般の市議選の場合)しかない。戸別訪問は禁止されており、名前入りのビラも配布できない。国政選挙と違ってメディアの報道も極めて少なく、自分の主張と名前を有権者に知らせる手立てと時間を奪われている。こうしてチャレンジする新人が現れにくくなってしまっているのである。
選挙運動の手足を縛る今の公職選挙法が結果的に選挙をつまらなくし、有権者の関心を失わせているといえよう。低投票率と無投票、そして現職の圧倒的有利という「不公平な選挙」を生み出しているのである。選挙の空洞化が指摘されて久しいが、その解決策としてまずとりかかるべきは、公職選挙法の改正ではないか。規制緩和し、新規参入への道を広げ、選挙の構造を変えるのである。
こうした考えは別に珍しくもない。有権者に判断材料をきちんと示すことが代議制民主主義の大原則で、選挙運動は本来、原則自由であるべきだからだ。では、なぜ、ハンディマッチを強いるような今の法制度が放置されているのだろうか。答えは明白だ。現職にとっては今の状態が望ましいからだ。
地方選挙の空洞化を放置したままで「地方創生」など不可能だと考える。ところで、「地方創生」の取るべき道を示した本「反骨の市町村 国に頼るからバカを見る」(講談社)を出版した。こちらも参考にしていただけたらと思う。
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