[細川珠生]【中台初の首脳会談の意義とは?】~日台議員連盟事務局長秋元司議員に聞く~
Japan In-depth / 2015年12月1日 18時0分
11月7日、分断後初となる中国と台湾の首脳会談が行われた。日台議員連盟の事務局長を長年務めている衆議院議員の秋元司氏を迎え、その意味や背景について聞いた。
台湾の国民党と中国の共産党が戦い、国民党が破れて、今の台湾に逃げてきて以来、分断状態は続いている。「お互い本物の中国はこちらだと主張するなかで両国(両地域)のトップが会談したというのは歴史的には大きな話だと思う。」と秋元氏は今回の会談を評価した。
台湾は国際的には国として認められていないが、台湾は終戦まで日本の領土だったこともあり、日本にとっては近しいイメージがある。台湾にも親日の人が多い。今後の関わり方について、秋元氏は「日本としては台湾としっかりとこれからも握手しあいながらお互い友好関係をつないでいきたい。」と述べた。
何故この時期にトップ会談が行われたのか。秋元氏は、来年の総統選挙に向けて、馬英九総統率いる国民党の支持が上がっていないことを挙げ、「馬英九総統自ら行動して、国民の支持を回復しようと思った節があるのではないか。台湾の方から一方的にすり寄っていった気配があるのではないかと感じる。」と話した。
しかし、その結果として国民党への支持が上がったかというとそうではない。「『今のままの関係を続けていきながら、お互い共存できる道を』というのが今の台湾の本当の国民の世論だと感じる。今回トップ会談が行われたが、これによってすぐ何か大きな結果が出てくるとは思いづらい。」と秋元氏は分析した。実際に、今回の会談が終わった後の世論調査を見ても、一つの中国を望む台湾国民の声は少なかったという。
秋元氏は、逆に、今回の会談は中国にとってメリットが大きかったという見方をしている。「中国の指導者としては、一刻も早く台湾を完全なる一つの中国にしたい。そのためにはトップ会談が実現しなければまず実現しない。習近平時代に歴史的な一歩として首脳会談をやったということは国民からの大きな評価につながる。」と述べた。
日本のすぐ隣国である中国が軍事力を強化し、大きな脅威となっている。日本にとっては台湾との関係は大事だが、台湾を国と認めるかということに関しては微妙な立場をとっており、他国同様、台湾の正式な大使館を置くこと等はできていない。
これについて今後日本がどのような姿勢をとっていくのかを細川氏が質問すると、秋元氏は、「政府間交流が今後どうなるかによる。これまでは課長以上は台湾に行ってはいけないという風習があったが、今は局長級が台湾に訪れることもあり、政府間交流は進みつつある。」と述べ、大使館等の取り扱いについても、「一歩一歩進めていくしかないし、中国を含めて外交を考えていかなければならない。」と話した。
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