ここまできたかスポーツ界の堕落と腐敗 東京五輪の開催時期変更を提案せよ
Japan In-depth / 2016年1月23日 11時0分
嶌信彦(ジャーナリスト)
「嶌信彦の鳥・虫・歴史の目」
一体、スポーツ界はどうなっているのか。このところ、賭博、汚職などのニュースが世界をにぎわし、それでなくとも評判を下げているオリンピックへの期待感はどんどん落ちている。2020年の東京五輪までにオリンピックは立ち直れるのか。1984年のロス五輪以来、スポーツの祭典というよりカネを儲ける手段にどんどんなり下がっているのではないか。国際スポーツ大会は、かつて健全なる肉体と精神を競う場とされていた。それが今や国威発揚といかに五輪組織委員会や主催国、有名選手らがビジネスの場として利用し、名前を売るかという悪臭粉々たる場にどんどん身を落としているようにみえる。
きっかけは、ロシアが80年のモスクワ五輪を西側諸国にボイコットされた意趣返しに84年のロサンゼルス五輪を社会主義国が不参加を決めたあたりだろう。もうその前から国際スポーツ大会は個人の肉体とパフォーマンスを競う場というよりメダルの数を争う国の面子をかけた祭典になってきた感がある。このため、主催国は開会式や閉会式に趣向をこらし、莫大な費用をかけるようになってきた。もはや開催国を名乗れるのは資金とパフォーマンスの人材、ITを駆使できるほんの一部の国になってきた。
しかもオリンピックの合間には国際的な陸上大会、水泳大会、アジア大会など個別の地域大会、個別の種目別スポーツ大会が相次いで行なわれている。これを成り立たせているのは、国際スポーツ中継の放映権料である。テレビを通じて国際的な一流プレイヤーの国際試合を見られるとあって、放映権料は1980年代に入りウナギ上りに上昇、特に目立ったのはヨーロッパサッカーリーグの試合で、最盛期にはセリエA(4億8600万ユーロ)、FAプレミアリーグ(8億5300万ユーロ)、UEFAチャンピオンズリーグ(8540万ユーロ)などと高額化し、FAプレミアリーグの放映権料は91年から10年間で40倍となった。
こうなると放映権をどこに融通するかを巡り激しい裏工作が始まることになる。事実、今回明らかになったことは、本家本元の国際サッカー連盟(FIFA)で会長選挙の票と引き換えにW杯の放映権がW杯理事に与えられたのではないか、と報じられた。スイスのジャーナリストによって元FIFA副会長ジャック・ワーナー氏が10年、14年W杯の放映権をセットで38万9000ポンド(約7200万円)で買ったのではないかと特報したのだ。契約額は相場の5%で、ワーナー氏はそれをカリブ海サッカー連合に放映権を売却し、1100万ポンド(約20億円)の利益を得ていたという。
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