大学入試改革、中身の議論を~東京大学医科学研究所上昌広特任教授~
Japan In-depth / 2016年2月8日 23時34分
Japan In-depth 編集部(Aya)
今回のテーマは「大学入試改革」。医師であり、東京大学医科学研究所特任教授の上昌広氏とAERA記者の古田真梨子氏を迎え、今後の大学入試について聞いた。AERA最新号では「大学入試改革とアクティブラーニング」という特集を組んでいる。
大学入試改革とは、具体的にどういった内容なのか。「センター試験の在り方を変える。一年間に何回か受けられるようになる。一発勝負の筆記試験だけのものから、総合的に判断するものに変わる。」と上氏は説明した。2020年から変更が予定されている。「今までは点数で判断されていたのが、思考力や発想力など数字化しにくいものを評価にいれるので、評価の軸をどうしていくか議論が必要。」と古田氏は述べた。
国立大学では、人文科学系学部は廃止していく方針だという。こうした動きに対し、上氏は否定的な見方を示した。その理由は、文系、特に教員養成課程が切りやすいから切られてしまう、つまり財政のつじつま合わせに繋がるからだという。「本当は逆。知的な人材を育てなければいけないので、投資は増やすべき。教師の育成にお金をきっちり出してやっていくべき。」と上氏は述べ、教員養成課程の重要性を強調した。
教育の話は、どうしても受験という入り口の議論になってしまいがちだ、と上氏は指摘する。氏は、ノーベル賞受賞者の二人の日本人を例に出し「大村先生や山中先生は受験のヒーローではない。ああいう人が個人の実力、ネットワークで世界を動かしていく。」と述べ、「入口の議論より(大学教育の)中身の議論が必要」と述べた。
上氏は、自身の大学生活を振り返り、「大学内外のいろんな活動に付加価値があった。講義がすべてではない。」と述べた。最近の大学生は、アルバイトや授業なので多忙な学生が多い。「判断して、間違うのが経験。学生には失敗させないといけない。余裕を持った教育が本当の教育。」と上氏は話し、余裕を持ってしっかりと考える力が必要だと説明した。
では学生が能動的に学ぶにはどうすればよいのか。上氏は、学生と一緒に福島に行き、診療や健康診断で地元のお手伝いをしている。卒業生の中には福島の病院に就職した者もいる。
また、福島の活動を通じ、長塚智広(元競輪選手、自転車競技アテネ五輪銀メダリスト)たちが東大剣道部の学生たちと知り合い、交流が始まった。長塚氏たちがトレーニング方法を指導し、学生たちは急成長した。幾つかの強豪大学にも勝利した。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
「国立大学費を年150万円に」提言が波紋、慶応義塾長「高度な人材育成に必要」…「低所得層が進学できない」と批判の声
読売新聞 / 2024年5月15日 7時54分
-
「非大卒家庭から東大総長賞」1浪した彼女の奮闘 設立団体が受賞、地方女子の進学を支援する
東洋経済オンライン / 2024年5月5日 7時20分
-
「東大受かった子」にかかる"教育投資の平均値" 香川から大阪まで塾に通い合格した学生も
東洋経済オンライン / 2024年5月4日 19時0分
-
関東・甲信越・東北地方に「令和版帝国大学」を 高等教育に東西格差
Japan In-depth / 2024年4月27日 17時0分
-
5/19(日)「ROJE五月祭教育フォーラム2024」<再考・総合型選抜~評価されるべき「学力」に迫る>【無料・オンライン参加可】
PR TIMES / 2024年4月16日 10時45分
ランキング
-
1再犯“ひょっこり男”の呆れた動機と勝手な言い分 自転車であおり運転、約4カ月で通報42件
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月15日 9時26分
-
2園児バス置き去り事件裁判 元クラス担任「私が連絡怠った」
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年5月15日 12時30分
-
3「能登町のイカキング」は格好の事例である…「税金のムダ遣い」から「復興の象徴」に大化けしたワケ
プレジデントオンライン / 2024年5月15日 10時15分
-
4国民・玉木代表「逮捕も選択肢」 つばさの党の選挙妨害
共同通信 / 2024年5月15日 15時32分
-
5ゴミ収集車事故「ブレーキかけず」横断歩道に進入か
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年5月15日 12時19分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください