なぜ憲法に退位の規定がないのか? 知られざる「王者の退位」その1
Japan In-depth / 2016年7月29日 11時0分
後に、この勅使の接待を巡るトラブルから、今に至るも「忠臣蔵」と呼ばれる事件が引き起こされるのだが、その話も、今次のテーマとは直接関係ないので割愛させていただく。
ここで見ておかねばならないのは、一般に「武士の世の中」と称される江戸時代においてさえ、朝廷と幕府は二重権力構造と言うべき微妙な力関係によって成り立っていた。だからこそ、倒幕を目指す勢力が天皇の担ぎ出し(政治利用)に成功したことによって、明治維新が起こりえたのである。
その明治政府が制定したのが大日本帝国憲法で、ここにはたしかに、「大日本帝国ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス」とあるだけで、退位が可能なのか否かを判断し得る規定はない。ただ、 補則において摂政を置くことは認めており(第75条)、同時に、摂政を置いている期間中は、憲法および皇室典範を変えてはならない、と規定している。
これを要するに「政治目的での退位」「本人の意志に基づかない退位」は認められておらず、現行憲法においても、その解釈までは変わっていない、というのが、憲法学者の多数派の解釈であるらしい。
この、憲法解釈の話は、次回もう少し詳しく見る。
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