仏、遂に“尻たたき”禁止令
Japan In-depth / 2017年1月12日 7時15分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
2016年12月22日より、とうとうフランスでは子供の尻たたきなどの体罰が禁止されることとなりました。具体的にはビンタ、尻たたき、手を打つことが禁止となります。とは言っても、違反者に対する罰則は設けておらず、「保護者はもう一度、自分たちの行動を見直してほしい」というのが趣旨としています。
ヨーロッパでは、長らく子供を教育するために「体罰」が容認されていました。ヨーロッパでの子供の地位は著しく低く、体罰をもって厳しくしつけることをよしとされてきたのです。しかも、教師が親と同等の権利があるとし学校でも体罰が許されていました。
2007年にフランスで行われた調査では、こどもの96%が親にたたかれた経験があり、祖父母の84%および親の87%が体罰を加えたことがあると答えています(注1)。
またフランスの一般社会では体罰は普通のことで、特に子供の頃にたたかれた経験のある人の多くが、たたくしつけを支持しており、フランスのメディアフィガロによると、2009年には82%が体罰禁止に反対、2015年には70%が禁止反対の意思を示しています。
体罰で代表的なのが尻たたき。昔からとても一般的な体罰・刑罰の一つであり、束ねた木の枝で尻をたたくのが最も痛いとされ、「枝むち打ち」は、フランス革命の際の刑罰としても使用されていました。それと共に家庭でも子供のしつけとして行われていたのです。
近年になると尻をたたく道具は、枝からマルティネ(Martinet)と呼ばれる25cmぐらいの皮でできたムチに変わりました。そして1960年代ぐらいまで学校でもクラスに一つは置かれて使用され続け、家庭でも1980年ぐらいまではマルティネが頻繁に使用されていたのです。2007年の子供への調査ではマルティネで罰を与えられたことがあると子どもの30%が回答しています。(注1)
ちなみに同時に行われた親の調査では、マルティネを使ってると認めた割合は10%。現在のフランスの子供の祖父母にあたる年代では、ビンタもよく行われており、54%の親が実践。現在でも24%の親がしつけとしてビンタを実践しているといいます。
しかしながらフランスで2010年に流された、体罰防止のコマーシャルには、多くの人がショックを受けたことには間違いありません。食卓でコップを倒した子供を怒鳴り、平手打ちする母親。その様子を見た祖母が二人の元に来ますが、慰めようと抱きしめたのはたたかれた子供ではなく、自分の子供であるたたいた母親の方。抱きしめながら「ごめんなさい」と言う祖母。
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