誤報大賞「毎日新聞 憲法のある風景」
Japan In-depth / 2017年1月17日 18時0分
■ワースト2「参院選 改憲勢力 3分の2」
以前この番組でも取り上げたこの問題。2016年の7月に行われた参院選で、各社メディアは、「今回の参院選の結果、『改憲勢力』が初めて衆参とも3分の2を超え、改憲発議が可能になった」と報じた。「改憲勢力」という言葉でくくっているが、改憲への立場はそれぞれ異なっていると楊井氏は指摘。
さらに、3分の2を超えたのは今回の参院選が初めてではない。3年前、2013年の参院選の結果、自民党、公明党、日本維新の会、みんなの党は改憲勢力と言われていて、既に参議院の3分の2に達していた。今年の参院選では、自民党、公明党、日本維新の会、日本のこころを大切にする党の4党、それに無所属の数名を足して162議席を獲得した。楊井氏は「3年前もすでに達している話。だから今年が初めてではない。」と指摘した。
社民党、共産党以外、広い意味での改憲勢力といえば既に9割を越している。「調べた限り、広い意味での改憲勢力は2001年からずっと8割を越している。ただ、皆がバラバラで話し合いをしようとしない。常に党派争いをしている。だから、いつまで経っても何も具体化していないだけのことで、その状況は3年前でも6年前であろうが今年(2016年)であろうが同じこと。状況は変わらない。だから今年の7月に改憲勢力が3分の2獲ったとみんな大騒ぎしたけれども、何も進んでないということは、別に3年前と変わらないということ。」と楊井氏は主張した。
日本報道検証機構の指摘により朝日、読売は11月に訂正を出しているが、テレビは訂正していない。「改憲勢力とは、何をもってどこを改憲勢力というのか、メディアがその都度、勝手に、ここまでが改憲勢力で、あとは護憲勢力というように、恣意的にやっているだけであって、客観的に見ればそんなに変わっていない。」と楊井氏は述べた。続けて、「なぜ、具体的に進んでいないのかと、物事の本質に立ち返らないと意味がない。さもなければメディアは毎度の選挙で、改憲勢力が3分の2を超えたかどうかで騒ぐことになる」と懸念を示した。
■ワースト1「毎日新聞 憲法のある風景」
毎日新聞の連載の中での誤報。以前この番組でも取り上げたこの記事は、年始に出された。「信じる私 拒まないで」というタイトルで出された記事は、イスラム教に改宗した女性二人のインタビュー記事である。イスラム教に改宗したことによって、受けた差別や辛い経験のライフストーリーを記している。この記事には、事実誤認や事実無根のものまで含まれているという。「信じる私 拒まないで」という趣旨のタイトルは、1人の女性のコメントが引用されている。しかし女性はこのコメントを言っておらず、このような主張は、思ってもいないことだという。彼女たちは、イスラム教に改宗したことにより辛い思いをしているわけではないそうだ。女性のうち1人は事前に記事を見て、“記事を出さないで”、とまで言っているのにもかかわらず、世間に記事が出てしまった。
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