デンマークの最新シェアリング経済
Japan In-depth / 2017年1月17日 20時49分
また、リースのサービスについては、協働関係にあるリース会社からGoMoreのマークを付けた新車を月定額でリースすると同時に、そのリースした車を自分が使わない数日間を別の人に貸し出すことで、次の支払いを割引してもらえるサービスである。これによりかなりの低額で、常に必要な時に安定して同じ新車に乗ることができるうえ、12カ月ごとに新車を替えることができる。
重要なことの一つは、同社のこうしたサービスが会員制となっており、相互信頼に基づいて行われていることだろう。車種、ナンバープレートの登録とともに、これまでの乗客の口コミなどが見られ、知らない人の車であっても安心して乗ることができるように配慮されている。仲介者としてGoMoreが入り、お金のやり取りを仲介する(例えば乗り合いの場合、手数料は運転手の受け取る額の10%)ことで、乗客が約束の料金を払わなかったとか、待っていたのに約束の場所に現れなかったといった事態が起きた時への対応ができる。
また、成功の基盤となっているのは、協働パートナーの存在である。自動車リースに関しては、世界32か国にオフィスを構え、140万台を擁するリース会社のLeasePlanがバックアップにつく。個人の自家用車貸し出しに関する保険については、2004年に設立されたノルウェーのProtectorが賃貸自動車保険サービスを保障する。全国各地にあるガソリンスタンドのQ8社との協働では、GoMoreの乗客全員にガソリンスタンドで無料のコーヒーがもらえるサービス、GoMoreを使って車を貸し出す人には貸し出し前に車を半額で洗浄するサービスが提供されている。
そのほかにも、GoMoreの乗客が雨などの時に、協働するフェリー会社の入り口で濡れずに車にピックアップしてもらうのを待つことができるサービスや、警察や交通安全評議会との協力によるアドバイスなどがパートナーシップで行われている。こうした利用者にとって必要とされたり、あると嬉しいサービスが完備されたりしていることが多くの利用者に支持されている理由であろう。
TNSGallupがNordeaの依頼で行った新しい調査によると、こうしたサービスの利用者のインセンティブは、半分以上のケースでお金を稼ぐ、あるいは節約するためであり、環境に配慮してという回答は25%程度に過ぎなかった。GoMoreのアイディアはもともとそこに行く予定のある人が、環境に余分な負荷をかけることもなく、ほかの乗客と乗り合いするというものである。それに比してUberは、いわば一般の人がお金を稼ぐためにタクシーの代替をするものであり、タクシー会社の「競合相手」として市場に受け止められ、向かい風に遭っている。GoMoreによる平均移動距離は230㎞であり、金稼ぎの目的でするような走行ではありえないと同社の社長はいう。このベースがシェアリング経済の要である。若いチームで形成されたGoMoreの柔軟なアイディアが、今後も各地で普及していく見込みは十分である。
参考リンク
GoMoreホームページ
https://gomore.dk/
BT紙 2017年12月7日
http://www.bt.dk/krimi/gomore-direktoer-uber-har-aldrig-vaeret-samkoersel
Søndagsavisen 2015年10月2日
http://www.sondagsavisen.dk/bolig/boligogpenge/2015-10-02-derfor-vaelger-danskerne-deleokonomi/
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ANI Technologiesの主力事業Ola Cabsにみる、インドのライドシェア市場
Techable / 2024年4月30日 12時0分
-
Queue-itがデンマークのビエアデジタル化大臣兼ジェンダー平等大臣とともに訪日
PR TIMES / 2024年4月25日 11時15分
-
憧れのSUVを購入する予定です! 維持費は毎月「7000円」ほどで見積もっていますが、実際はどうなのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月23日 0時30分
-
ミニバンを購入してから5年。維持費が毎月「3万円」かかりますが、ほかの車種と比べて高いですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月19日 0時50分
-
急速な展開を見せる「日本版ライドシェア」の全面解禁に、タクシー業界からは猛反発。普及への最大の課題は「地域住民への説明不足」にあり?
集英社オンライン / 2024年4月10日 17時0分
ランキング
-
1プーチン大統領の就任式、日本は出席せず=林官房長官
ロイター / 2024年5月7日 16時44分
-
2中国軍機、照明弾で豪ヘリ妨害=高度差60メートル、「危険」と抗議
時事通信 / 2024年5月7日 9時36分
-
3プーチン大統領、通算5期目の就任式…6年の任期全うならスターリンに匹敵する統治期間に
読売新聞 / 2024年5月7日 18時48分
-
4イスラエル軍、ラファ検問所のガザ側掌握と発表 支援の重要拠点
ロイター / 2024年5月7日 17時49分
-
5プーチン大統領、5期目就任式 ウクライナ侵攻の正当性強調も…政権運営の不安要素は
日テレNEWS NNN / 2024年5月7日 19時23分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください