中国軍艦に勝てなくなった台湾海軍
Japan In-depth / 2021年10月10日 7時24分
成功級は先制攻撃を防ぎきれない。迎撃手段のSM-1ミサイルは旧式であり誘導装置も2組だけだ。レーダでYJ-83を探知してから被弾までは約100秒である。その間に連続2発発射の迎撃は3回がいいところだ。また撃ち漏らしも出る。いずれにせよ大砲ほかでの迎撃まで追い込まれる。
▲写真 SM-1のダミーミサイル。旧式であり終始誘導が必要で1発射つと命中するまでは次弾は撃てない。誘導装置は艦橋上の卵型レーダ内部と艦橋裏のマーカライト風の2つある。ただ成功型は同時並行に使えるかは不明。 出典:Photo by PH1 Jeff Hilton, USN、Defense Visual Information Center - U.S. Department of Defense (DOD)
仮に成功級が生き残って反撃したとしよう。距離150kmまで近づき雄風2型・3型を発射したとする。
この反撃は成果を挙げえない。
中国側は高確率で完全迎撃するためだ。054A型が迎撃に使うHHQ-16ミサイルは比較的新しい。8発の攻撃には8発以上の釣瓶撃ちで対応できる。とりあえずの位置に向けてミサイル8発を発射しておく。そのあとで飛行中のミサイルを2~4発づつ順番に精密誘導する。まずはそのような迎撃ができる。
■ 水平線距離での不利
二つ目は水平線以内での不利である。さらに近づき距離40km以内なって以降の戦いである。
ここでも迎撃ミサイルにある同時交戦数の差が出る。
海軍用の迎撃ミサイルは軍艦相手にも利用できる。SM-1にはその機能がある。またHHQ-16にもまちがいなくある。相手軍艦が見える距離なら攻撃に利用できる。そのため台湾側は不利となる。成功級は一度に2発の攻撃しかできない。対して054A型はその間に8発以上を発射できる。
台湾の勝ち目は先制撃破だけだ。相手が発射する前に命中させるしかない。だが、機先を制するは054A型である。レーダー性能や軍艦自動化でも中国側が上だからだ。
■ 砲戦での不利
三つ目は砲戦距離での不利だ。1つ目と2つ目の劣勢を切り抜けても成功級の不利は続く。
砲そのものは同等品である。どちらも3インチ砲と呼ばれる口径76ミリの自動砲である。砲弾威力も射程も発射速度も大差はない。だが、その設置位置から成功級は不利である。主砲は艦橋と煙突に挟まれた場所にある。そのため射撃範囲は狭く横方向しか撃てない。前後方向には撃てないのだ。
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