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習政権「第3の歴史決議」の意義

Japan In-depth / 2021年11月19日 23時0分

習政権「第3の歴史決議」の意義




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・習政権は「第3の歴史決議」で、今までの「鄧小平路線」を完全に否定した。





・「混合所有制」改革導入、「第二文革」発動、「戦狼外交」の展開で習政権下、中国経済は低迷している。





・共産党は「第3の歴史決議」を公にし、“自滅への道”を暴走しているのでは。





 





今年(2021年)11月8日、中国共産党は第19期6中全会を開催した。そして、同11日、同党は「第3の歴史決議」(王滬寧政治局常務委員の発案か)を採択し、閉幕した。日本のマスメディアでは、これを大々的に取り上げている。だが、果たしてそれほど重要な決議なのだろうか。





従来、政治局常務委員の定年は68歳と定められていた。来秋、習近平総書記は69歳になり、定年退職の予定である。ところが、「第3の歴史決議」によって、習総書記が2022年以降(第3期目)も政権を担当する公算が強まった。今度の決議はその道を切り拓くためのモノに過ぎないのではないか。





ただ、来年の第20回党大会まで、あと1年近くある。場合によっては、党内闘争(宮廷クーデター等)の末、「第3の歴史決議」が覆る可能性を排除できない。





本来、日本のメディアは、中国に関して、報道すべき重要な事柄があるのではないではないだろうか。例えば、不動産バブル崩壊の兆し、各地の電力不足、国内におけるコロナの状況など、伝える事は山ほどある(今度の「6中全会」の最中、重慶市ではタクシードライバーによる大規模はデモが起きた。コロナ禍、彼らは生活苦を訴えるため、クラクションを鳴らしながら市内をゆっくり行進している。だが、メディアはこのデモにほとんど触れない)。





さて、1945年4月、毛沢東による「第1の歴史決議」が出された。だが、まだ第二次大戦中(日中戦争中)の決議である。当時、蒋介石率いる中国国民党(以下、国民党)が大陸を統治し、中国共産党はまだ野党に過ぎなかった。





「第1の決議」は、その時点での中国共産党内部で起きた路線闘争の総括である。仮に、「国共内戦」で、中国共産党が国民党に敗れていたら、この決議は重要視されていなかったのではないか。たまたま、中国共産党が「国共内戦」に勝利したので、これが歴史的な決議として扱われている。





「第1の歴史決議」採択後、まもなく毛沢東は党主席となり、その後、死ぬまで党主席を務めた。一時、毛党主席は、国家主席を兼任する。しかし、毛国家主席は「大躍進」運動の失敗で責任を取り、劉少奇に国家主席を譲った。





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