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「1票の格差」こそが問題(中) 似て非なる日英「二大」政党制 その4

Japan In-depth / 2021年11月25日 23時0分

「1票の格差」こそが問題(中) 似て非なる日英「二大」政党制 その4




林信吾(作家・ジャーナリスト)





「林信吾の西方見聞録」





【まとめ】





・単純小選挙区制の下、政党が乱立する英国総選挙





・高支持率でも、議席獲得には至らない英国自民党





・「比例復活」の道を閉ざした英国と小選挙区・比例代表並立制を導入した日本





 





英国議会は保守党・労働党の二大政党制で成り立っているというのは、事実ありのままではない、と述べた。今回まずはこの点をもう少し具体的に見よう。





現在、かの国においては18歳以上の国民すべてに選挙権および下院の被選挙権が与えられる(上院=貴族院は非公選)。つまりは18歳で国会議員になることも可能な上、供託金もわずか500ポンドである。この原稿を書いている11月中旬の時点で、1ポンド=153円くらいなので、7万6500円程度。得票率が5%に満たないと没収されるが、今時アルバイト学生でも用意できそうな金額だ。





このため、総選挙に際しては40以上もの政党が候補者を立てることが珍しくない。





極右のナショナルフロントから極左のレッドフロントまで、いや、そればかりかUFOから地球を守る党(どこかで聞いたような笑)、ジョン・レノン記念党(一応、世界平和実現を綱領に掲げていると聞く)まで、乱立どころか、もはや無政府状態と呼びたくなるほどだ。





もちろん当選するのはごく一部で、下院に議席を持つ政党の数は全部で10。以前「両手の指に余るほど」と述べたことがあるが、これは無所属議員(4名)を保守系・左派系それぞれにカウントしてしまった筆者のミスによるものでした。お詫びして訂正します。





二大政党を別にすると、最も大きな勢力を持つのはスコットランド国民党で44議席。スコットランド独立を唱え続け、2014年には独立の是非を問う住民投票を実施するまでになったが、僅差で残留派に敗れている。





ウェールズにも独立派議員がいて、プライド・カムリを名乗り3議席持っている。





ただ、上記ふたつの独立派政党は、民族主義と同時に社会民主主義的な路線を採用しており、議会内勢力としては労働党と歩調を合わせることが多かった。このこともまた、英国は二大政党制、という認識が定着する一因であったと見て間違いないだろう。





これまた単純小選挙区制のなせるわざで、選挙区によっては2万そこそこの得票でも当選することがあるので、地域に根強い支持基盤を持つ党が、どうしても有利になる。





逆に言えば、全国にまんべんなく支持者がいる、といった政党にとっては不利で、得票数と議席数がまるで一致しない、という結果になってしまう。





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