岸田政権へのアメリカの反応は その4 核廃絶と核抑止の矛盾
Japan In-depth / 2021年12月1日 23時0分
「最悪なのは日本が建前として公式に核兵器全廃を唱えながら、実態としてアメリカの核戦力に依存するという状態の継続だろう。いま海外での軍事責務を減らそうという流れの強いアメリカでは国民の一部が日本のそうした矛盾や偽善の構えに気づき、それではもう日本防衛を止めようと主張し始める可能性もある」
「アメリカ国内でもアフガニスタンからの撤退の失態後、戦争をも辞さないという潜在敵国に対して、こちらが一方的な軍縮などの後退を続けることで戦争や侵略を防げるのか、という議論がいま広がっているのだ。日本は中期、長期の自国の安全を考えれば、核抑止に関しては自国の核保有という極端な可能性をも含めて、あらゆるオプションを政策議論の範疇に留めておくことが健全だと思う」
日本では率直かつ現実的な議論が難しい核兵器と国家防衛という課題についてドーク氏の以上のような見解はアメリカ側では常識的な路線といえるだろう。
とくにアメリカの一般国民にとってはアメリカの核戦力の抑止効果を同盟国としての国家防衛の柱に取り込むことを宣言している日本の首相がその一方で核兵器の無条件の全廃を説く、というのでは奇異に映ることも自然だろう。
(その5につづく。その1、その2、その3。全5回)
**この報告は月刊雑誌『正論』の2021年12月号に掲載された古森義久氏の論文の転載です。
トップ写真:広島平和記念公園を訪問する岸田氏(2020年10月18日) 出典:岸田文雄氏 公式Facebook
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