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香港立法会選挙 予想される結果

Japan In-depth / 2021年12月16日 18時5分

第2に、立候補者が「国家安全維持法」に違反していないかどうかを審査する「資格審査」を導入した。「汎民主派」を排除するためである。

第3に、一般市民による直接選挙枠が35議席から20議席に減らされた(ただ、第5期・第6期立法会選挙で、職能団体<各種業界団体>枠の区議会議員から選出される5議席も、直接選挙に近い方式だった)。

第4に、28の職能団体枠30議席は“変更なし”となった。

前回の職能団体枠では、無投票で当選した議員が12人もいた。だが、今回は、無投票とはならない見込みである。他方、前回、漁農業界から2人立候補したが、98票で当選している。また、航運交通界も2人立候補したが、126票で当選した(直接選挙枠で当選するためには、普通2、3万票必要である)。

第5に、1500人の「選挙委員会」が40人の議員を選出する。香港返還後、第1期立法会選挙では10名、第2期では6名の議員を選出した。だが、第3期からその選出枠がなくなった。

これまで、1200人で構成された「選挙委員会」は香港行政長官を選出している。ちなみに、約300人余りは「汎民主派」で、残り800人以上は「建制派」だと言われていた。

今年9月20日、選挙管理委員会は、行政長官や40人の立法会議員を選ぶ権限のある「選挙委員会」委員(定数1500人、欠員52)の当選者を発表した。中国共産党は、ここでも立候補段階から「汎民主派」候補を排除している。

その結果、民主派は0人、「中間派」(=「非建制派」)1人、残る1447人はすべて「建制派」で占められた。

以上のように、立法会90議席中、直接選挙で20議席、「建制派」の多い職能団体から30議席、ほとんど「建制派」の「選挙委員会」委員によって40議席が選出される。

近年、香港人の約6割が「汎民主派」へ投票し、約4割は「親中派」に票を投じていた。したがって、仮に有権者の投票行動が今までと同じだとすれば、直接選挙での20議席中、およそ「汎民主派」が12議席、「建制派」が8議席獲得する可能性があるだろう。

ただし、既述の如く、次期立法会選挙には、「資格審査」が導入されたので、著名な「汎民主派」の人達は、ほとんど出馬していない。今回、「汎民主派」・「中間派」と称する立候補者は合わせて13人だという。だが、彼らが本当に「汎民主派」・「中間派」なのかどうか不明である。

そのため、次期香港立法会選挙は、投票率が前回(58.28%)を下回るのは確実ではないか。おそらく「汎民主派」支持の有権者が投票所へ足を運ばないからである。投票率が下がれば、「建制派」が益々有利となるに違いない。

結局、立法会90議席中、大半が「建制派」で占められるだろう。習近平政権の思惑通りである。

実は、前回の立法会(第6期)では、優勢だった「建制派」すら、全体の3分の2以上を占めていなかった(70議席中、40議席)。そのため、重要法案(3分の2以上の賛成が必要)が成立しなかった事例がある。しかし、今後は「建制派」が大多数を占めるので、重要法案もスムーズに通過するようになるだろう。





トップ写真:第13期全人代第4回会議、第2回全体会議に出席する習近平国家主席(上左側)と李克強首相(2021年3月8日、中国、北京) 出典:Photo by Kevin Frayer/Getty Images






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