トランプ陣営の対日政策文書とは その4 アメリカとの核シェアリングをも
Japan In-depth / 2024年3月9日 11時15分
安倍氏は同時に同盟のような安保上の協力を他の有志諸国との間でも新たに構築し、拡大された安全保障上の目標を達成するという作業にも優れた才能を示した。その典型例は「自由で開かれたインド太平洋」だった。国際的に大人気を集めたこの政策標語はアジア太平洋地域で中国共産党政権の有害な影響力の拡大を防ぐという、安倍氏自身の年来の狙いに基づいていた。
安倍氏はアメリカ、日本、オーストラリア、インドの4ヵ国による安全保障協力対話であるクアッドの最大の推進者でもあった。安倍氏は当初、この4ヵ国の協力網を「アジアの民主主義安全保障のダイアモンド」とも呼んでいた。
安倍氏はとくにインドをこの戦略的構図のなかに導入したことを高く評価された。インドは中国のすぐ西側に位置して、その巨大な人口、増強される軍事力、そして経済の重みによって中国に対する抑止となりうるからである。安倍氏は当時の「ダイアモンド」と題した論文で「太平洋の平和、安定、航行の自由はインド洋の平和、安定、航行の自由と切り離すことはできない」と論じていた。
クアッド(日米豪印戦略対話)はまだ公式の同盟ではない。だが中国はその潜在的な力の強さを認め、「アジア版NATO」だとも喧伝している。アメリカ、日本、オーストラリア、インドの4ヵ国の海軍は2020年11月には大規模な合同訓練を実施した。また2022年5月にはクアッドは中国に脅威を受ける地域の諸国の領海と排他的経済水域(EEZ)を防衛するための海洋監視プログラムを発足させることを発表した。その方法は中国共産党政権の攻撃的かつ破壊的な大規模の民兵漁船団を主に商業的な人工衛星を使って監視することだった。
日本は2022年にはスペインでのNATO首脳会議に参加して、日本の新たなグローバル規模の安全保障への関心を明示し、世界でも最大級の防衛同盟であるNATOへの注視の姿勢をみせたのだった。
(その5につづく。その1、その2、その3)
トップ写真:QUAD日米豪印首脳会合 左から、豪州のアルバニージー首相、米国のバイデン大統領、岸田首相、インドのモディ首相(2022年5月24日東京都千代田区首相官邸)出典:首相官邸
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