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米USTR、USMCAに基づくパネル設置を要請、メキシコのコールセンターの労働権侵害を巡り(米国、メキシコ、スペイン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月17日 10時15分

米国通商代表部(USTR)は4月16日、メキシコ中部イダルゴ州のコールセンターでの労働権侵害の疑いを巡って、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」に基づき、パネルの設置を要請したと発表した。

RRMは、事業所単位で労働権侵害の有無を判定する手続きで、違反が認められれば、USMCAによる特恵措置の停止などの罰則が適用され得る。USTRは2024年1月に、イダルゴ州パチューカに所在するアテント・セルビシオス(Atento Servicios、注)のコールセンターでの労働権侵害の疑いについて、メキシコの労働組合からの申し立てを受け、RRMに基づいてメキシコ政府に事実確認を要請していた(2024年1月23日記事参照)。

USTRが発表したパネル設置要請に関する文書によると、メキシコ政府は同事業所で労働権侵害があったと事実認定しつつも、事実確認の調査期間中にアテント・セルビシオスが是正措置を講じたと判断していた。USTRはこれに対して、不当に解雇された一部の労働者が完全な救済措置を受けていないなど、同事業所の労働権侵害が完全には是正されていない可能性があるとして、パネルによる事実確認の検証を求めた。USMCAの規定に従い、パネル設置要請から3営業日以内に今回の案件を担当するパネリストが選定される予定だ。被申し立て国のメキシコがパネルによる検証に合意した場合、パネルは30日以内に検証を行う必要がある。

RRMに基づくパネル設置要請は、メキシコの鉱山開発最大手グルーポ・メヒコが同国サカテカス州に所有するサン・マルティン鉱山での労働権侵害の疑いを巡って設置された案件(2023年8月23日記事2023年8月29日記事参照)に続いて、今回が2件目となる。バイデン米政権は「労働者中心の通商政策」を掲げ、貿易相手国の企業に米国企業と同等のコンプライアンス基準を求め、その競争条件を平準化することで労働者の権利を保護し、いわゆる「底辺への競争」の防止や、米国の雇用・経済的利益の確保を図っている(2024年3月5日記事参照)。これまでのRRMに基づく措置については、USTRまたは労働省のウェブサイトを参照。

(注)アテント・セルビシオスは、顧客関係管理(CRM)サービスなどを提供するスペイン企業アテントのメキシコ関連会社。

(葛西泰介)

(米国、メキシコ、スペイン)

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