国連安保理、パレスチナの国連加盟勧告決議案を否決、米国が拒否権行使(パレスチナ、イスラエル、米国、アルジェリア、中国、フランス、ロシア、エクアドル、ガイアナ、日本、マルタ、モザンビーク、韓国、シエラレオネ、スロベニア、英国、スイス)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月22日 14時20分
国連の安全保障理事会は4月18日、パレスチナの国連加盟の勧告を求める決議案の採決を行ったが、常任理事国の米国が拒否権を行使して否決された。
パレスチナの国連加盟申請については、2011年9月23日にパレスチナ自治政府(PA)のマフムード・アッバース議長によって国連へ提出されたが、2カ国の反対により安保理による「勧告」に至らなかった(2024年4月16日記事参照)。国連総会は2012年11月29日に討議の参加を認める「非加盟オブザーバー国家」の地位を付与したが、正式加盟国となることは認められていない。
国連によると、アラブ諸国やイスラム協力機構(OIC、56カ国・1機構)を代表して、理事国のアルジェリアが決議案を提出し、採決では常任理事国は中国、フランス、ロシアの3カ国、非常任理事国はアルジェリア、エクアドル、ガイアナ、日本、マルタ、モザンビーク、韓国、シエラレオネ、スロベニアの9カ国が賛成したが、常任理事国の英国と理事国のスイスが棄権した。
拒否権を行使した米国のロバート・ウッド国連次席大使は「テロ組織であるハマスが現在、この決議で想定されている国家の不可欠な一部であるガザで権力と影響力を行使していることに留意する必要がある」と指摘した。ウッド国連次席大使は「米国は引き続き『二国家解決』(注)を強く支持している」とし、今回の拒否権行使は「パレスチナ国家樹立に反対するものではなく、当事者間の直接交渉によってのみ実現することを認識するものだ」と述べた。
イスラエルのイスラエル・カッツ外相は4月18日に声明を発表し、「10月7日の虐殺から半年が経過しても、国産安保理がハマスの恐ろしい犯罪を非難できなかったことは言語道断だ」と非難し、「国連安保理で否決されたこの恥ずべき提案に拒否権を行使した米国を称賛する」と述べた。
PAのアッバース議長はパレスチナ通信社「WAFA」の取材に対し、米国の拒否権行使は「パレスチナ人の権利、歴史、土地、聖域に対する明確な侵略であり、国際社会の意思に挑戦するものだ」と強調した(4月20日付WAFA)。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(注)イスラエルとパレスチナ間の問題を解決する方法として、イスラエルと完全な主権を有する独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存することを支持する立場。
(中溝丘)
(パレスチナ、イスラエル、米国、アルジェリア、中国、フランス、ロシア、エクアドル、ガイアナ、日本、マルタ、モザンビーク、韓国、シエラレオネ、スロベニア、英国、スイス)
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