JX石油開発・住友商事、米ルイジアナ州での持続可能な航空燃料(SAF)事業に参画(米国、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月10日 15時55分
JX石油開発と住友商事は4月9日、住友商事と米国の再生可能燃料開発企業のストラテジック・バイオフューエルズ(本社:ルイジアナ州コロンビア)がルイジアナ州北部で進める持続可能な航空燃料(SAF)製造事業(2024年2月9日記事参照)にJX石油開発が参画するためのコンソーシアム契約を締結したと発表した。両社によると、同事業はSAF製造と、これに併設するバイオマス発電過程で生じる二酸化炭素(CO2)を回収し、地下に圧入するCO2回収・貯留(CCS)も実施することで、「大幅なマイナス」炭素排出(注)を達成するSAF プロジェクトになるという。
この事業は、間伐材などの木質バイオマス廃棄物をガス化・合成し、SAFや再生可能ナフサの製造を行うもので、2029年には年産3,200万ガロン(約12万キロリットル)の製造設備の商業稼働を開始する予定だ。
また、製材所で生じた廃材などを燃料としてバイオマス発電を行い、操業のための電力として活用すると同時に、SAFや再生可能ナフサ製造・発電過程で生じるCO2を回収し、地下に圧入することで大幅なネガティブエミッション(年間で自家用車約30万台が排出するCO2の削減に相当)を達成する予定だ。
住友商事は米国で脱炭素化の取り組みを進めており、2023年2月には米国エムピーマテリアルズ(本社:ネバダ州ラスベガス)と電気自動車(EV)や風力発電用モーターなどの先端産業に欠かせないレアアースの日本向け独占販売代理店契約の締結を発表した(2023年2月22日記事参照)。翌3月には米国ジョージア州のサバンナ港で、船舶向けグリーンアンモニア燃料供給の事業化に向けた検討を開始すると発表した(2023年4月6日記事参照)。
JX石油開発はテキサス州で年間140万トンのCO2を回収するペトラノバ回収・利用・貯留(CCUS)プロジェクトを実施しているほか、2024年3月には米石油大手シェブロン(本社:カリフォルニア州サンラモン)との間で、アジア太平洋地域の CCSバリューチェーン構築に向けた共同検討に関する覚書を締結したと発表した。
(注)CO2をはじめとする温室効果ガス(GHG)の排出量が森林や植林による吸収量を下回っている状態。
(深石晃)
(米国、日本)
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