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301条対中追加関税の見直し終了、バイデン米大統領、EVや半導体などの関税率引き上げを指示(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月15日 13時15分

添付資料PDFファイル(141 KB)

米国のジョー・バイデン大統領は5月14日、米国通商代表部(USTR)に対して、鉄鋼・アルミニウム、半導体、電気自動車(EV)、バッテリー、重要鉱物、太陽電池、船舶対陸上(STS)クレーン、医療製品など戦略分野で、1974年通商法301条に基づく対中追加関税(301条関税)の関税率を引き上げるよう指示した。

301条関税は、米国が2018年7月以降に、中国原産品に対して段階的に賦課した追加関税だ。中国の技術移転や知的財産などに関連する行為・政策・慣行が不合理・差別的であり米国の商業に負担や制限を与えているとの理由から、これに対抗するとともに改善を促すことを目的としている。2024年5月時点で、米国関税分類番号(HTSコード)8桁で1万品目以上の幅広い品目に対して、7.5~25%の追加関税が賦課されている。

今回バイデン大統領は、中国製のEVに対しては現在の4倍の100%、太陽電池と半導体に対しては2倍の50%、鉄鋼・アルミニウム、バッテリー、重要鉱物、STSクレーン、医療製品に対しては25%の追加関税を課すよう指示した(添付資料表参照)。また、USTRの同日の発表によると、キャサリン・タイ代表は、現在301条関税の対象となっているそのほかの品目についても、追加関税をそのまま維持するようバイデン大統領に勧告したとしている。なお、今回の発表では、追加関税率の引き上げの具体的な日時やHTSコードは示されていない。

USTRはまた、同日に301条関税の見直しに関する報告書を公表した。USTRは、301条関税の賦課開始から4年が経過した2022年9月以降、追加関税の効果の検証や追加で講じ得る措置の検討など、法令に基づき301条関税全般の見直し作業に取り組んでいた。今回のバイデン大統領のUSTRに対する指示は、同報告書を踏まえたものとなっている。報告書では、追加関税は、米国が問題視する行為などを撤廃するよう中国に促す効果はあったと一定の成果を認めつつも、依然として米国の商業に負担や制限が与えられているとして、さらなる措置が必要と結論付けられている。一方で、太陽電池製造装置19品目に対する適用除外措置(注)を講じることや、米国内での製造に使用される機械を対象とした適用除外プロセスの確立なども提言している。USTRは、翌週中に同適用除外プロセスに関して官報を公示し、利害関係者からのパブリックコメントを募るとしている。

今回の発表では、既存の追加関税を維持しながら、限定的な範囲で追加関税を大幅に引き上げるという措置を示した。バイデン大統領は、今回の関税率の引き上げ対象品目の対中輸入額は約180億ドルだと説明しており、これは2023年の対中輸入総額の約4,272億ドルの約4%にとどまることから、米中貿易全体に占める割合は比較的小さいものになりそうだ。

(注)429品目については、2024年5月31日まで301条関税の適用除外措置が設けられている(2023年12月27日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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