職場で増加する「マタハラ」の対処法
JIJICO / 2014年8月29日 12時0分
職場で増加する「マタハラ」の対処法
「権利だけ」を主張しすぎない
最近、パワハラ・セクハラという言葉の他に、「マタハラ」という言葉を聞くことが多くなってきています。マタハラとは、「マタニティー・ハラスメント」の略で、働く女性が妊娠・出産をきっかけに職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、妊娠・出産を理由とした解雇や雇い止めで不利益を被ったりするなどの不当な扱いを意味する言葉です。
もし、職場でそのような目に遭った(あるいは、遭いそうな場合)際には、下記のような対処法が考えられます。
1、正しい法律の知識・権利を知る
労働基準法や男女雇用機会均等法では、妊産婦の権利が保障されています(休暇・休憩・妊娠を理由とした解雇の禁止等)。まずは、法律でどのような権利が保障されているのかを正しく理解する必要があります。
2、権利を主張する前に自分でできることを率先して行う
権利だけを主張する人は、職場で軋轢を引き起こしがちです。正しい権利をきちんと理解して自身の体調と相談の上、できることは率先してやる(例えば、力仕事は配慮してもらうが、自分のできる作業は率先してやる)という姿勢が周囲の協力を喚起します。あくまでも職場ですので、できることは率先してやるという姿勢が大切です。
大切なポイントとしては、「権利だけ」を主張しすぎないということです。言うまでもなく、職場というのは周囲の仲間との連携で成り立っています。それぞれが個別の事情を抱えながら働いており、互いに気遣いし合える職場が、風通りを良くし、明るく働きやすい職場なのではないでしょうか。
全体的なバランスを点検することが必要
では、事業主としてはどのように対処するべきでしょうか。事業主は妊産婦の法律上の権利を守るのは当然のことだと考えた上で、全体的なバランスを点検することが必要です。妊産婦だけでなく、職場にはさまざまな事情を抱えながら多くの人が働いています。その中で妊産婦だけを対象に社内の制度を手厚くすれば、当然、それ以外に頑張っている人のやる気がなくなっていくという逆効果が生じます。会社としては良かれと思って導入した制度が、逆に社員のやる気をそいでしまうのです。
そうではなく、会社として一つの理念、例えば「頑張る人がより頑張れる環境作り」等を定め、そのために、どのように全体の人事制度等の設計を考えるのかという視点を持つことが大切なのです。
(植田 健太/臨床心理士・社会保険労務士)
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