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パラレルワールドな様相を呈す不動産市場の今

JIJICO / 2015年6月24日 13時0分

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パラレルワールドな様相を呈す不動産市場の今

アベノミクスの影響で、不動産価格は値上がりが続く

「パラレルワールド」という言葉があります。例えば、ここに「右を向いたネコ」がいるとしましょう。しかし、実は同時に「左を向いたネコ」もいます。パラレルワールドと呼ばれる世界では、右を向けば左、前ならば後、生ならば死という二つの世界が同時並行して重なって存在するといわれています。これは、「シュレディンガーの猫」ともいわれる量子力学的見地からの科学的な指摘です。

さて、現在の不動産市場もまた、パラレルワールドと呼んで差し支えない様相を呈しています。今やアベノミクスの影響で、不動産価格は「静かなバブル」といった状況です。例えば、東京や京都ではマイホームの年収倍率が10倍(標準は5倍程度)、オフィス物件は利回り3%台に値上がりしています。それは、「いざなぎ景気」「バブル景気」の最高時とさほど変わりません。のんびりと田舎暮らしをしている筆者の街でも、「投資不動産を買わせてください」という東京の会社から、ダイレクトメールやファックスが激増しています。

一方で、価格がつかない不動産もあふれている

同時に、「500万円未満の格安マンション増加」「100万円台でマンションが買える?すさまじい不動産相場崩壊、住宅はただの粗大ゴミ」といった記事も散見されます。東京近郊では、100万円台のマンションが検索でゴロゴロ出てくるというものです。人口減少時代の中、都市近郊にせよ田舎にせよ、住宅があふれ、不動産が余っているのもまた事実です。

実は、筆者の元に寄せられる相談で今、最も多いのは、「空き家になった家がある。100円でも1円でもいいから、空き家を誰かに譲って使ってほしい」というものです。100万円台どころか、もはや価格がつかないものがあふれているのです。

不動産価格の二極化が進む

そうした不動産は、広告サイトをどれだけ探しても出てきません。不動産会社の報酬の上限は売買金額の3%から5%と法律で決まっていて、1円の不動産売買の報酬額は1円×5%=0.05円。これでは、不動産会社もやる気が起きません。つまり、世の中には大根や人参よりもお買い得な不動産が、星の数ほど埋もれているのです。

「相続したので買ったわけではないし、お金にも困っていない。100万200万円の中途半端な金をもらうくらいなら、1円で誰かに使ってもらった方がよほど嬉しい」との声が、所有者の本音です。同じ「家」であるにも関わらず、あちらでは5千万円、こちらでは1円という二極化が起きています。人生は一度きりといいますが、「シュレディンガーの猫」のように、生き方も、考え方も、不動産も、その選択肢はまさに「パラレルワールド」な状態と言えそうです。

(中山 聡/不動産鑑定士)

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