深夜営業は止めて正解?飲食店苦境の背景
JIJICO / 2015年8月12日 16時0分
深夜営業は止めて正解?飲食店苦境の背景
深夜営業にとって冬の時代到来か
外食チェーンのビジネスモデルに変化が現れ、24時間営業が普通だった外食チェーンやファミリーレストランの深夜営業が減少しています。深夜営業が減少し始めたのは、原材料や人件費の高騰、電気料などの維持費の高騰に加え、夜間一人で店を切り盛りする「ワンオペ」が強盗被害やブラック企業と名指しされるなどの原因となり、働き手の確保が難しい状況となってきたことが一因と考えられています。また、少子高齢化や震災以降の生活様式の変化(夜型から朝型へ)も、原因の一つと考えられています。
大手各社の深夜営業減少状況は、牛丼の吉野家が521店舗減、すき家では1254店舗減、すかいらーくでは600店舗超を閉店、または時間短縮しています。外食チェーンの優等生と呼ばれたマクドナルドでも、一昨年から2年間で400超の店舗で24時間営業を縮小しています。
客数減を避けることは難しそう
少子高齢化や生活習慣の変化に加え、コンビニエンスストアのイートイン化も外食チェーン苦悩の原因の一つと考えられています。コンビニ業界では、競争激化による顧客の取り込み合戦の中、店内飲食を促進するイートイン化を進めています。結果、深夜の顧客がコンビニで用を足してしまい、外食チェーンにとっての痛手となっているのです。
そんな中、大手牛丼チェーン3社(すき家、吉野家、松屋)の中で唯一値上げを見送っていたすき家が、4月15日から牛丼並盛を350円に値上げするという発表をしました。会見での値上げ理由は、一つが原材料である牛肉の高騰と人件費、電気料の値上がりにあるとしています。メニュー構成を変え、従来よりも牛肉や玉ねぎを20%増量することで50円の値上げを吸収しようとしていますが、過去の例からも客数減を避けることは難しそうです。
負のイメージの原因を探り、的確な対応策を講じる
もしも、外食チェーンが深夜営業を続けたいのであれば、次の3点の改善が必須条件といえます。
1.コンビニにない付加価値をつくる
2.深夜従業員の給料を上げる
3.労働環境を改善する
すなわち、深夜営業する外食チェーンの持つ負のイメージの原因を探り、的確にその対応を取り、働き手が喜んで働ける場所にすることこそ、深夜営業再開の打開策といえるでしょう。また、その対応が取れないようであれば、割に合わない深夜営業を続けるのではなく、日中の営業のみで採算が合う店舗づくりをすることが先決といえるでしょう。
(山根 敏秀/税理士)
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