フジ『大奥』、男女逆転のNHKと違った「逆転」で閉幕。“最たる逆転”は亀梨和也演じる将軍が死後も妻に託した思い
女子SPA! / 2024年4月4日 15時46分
(画像:『大奥』フジテレビ公式サイトより)
よしながふみの“男女逆転”『大奥』(NHK)の盛り上がりのあと、期待を背負ってはじまったフジテレビの『大奥』(脚本:大北はるか)は男女逆転とは違った逆転に次ぐ逆転があった。
とりわけ最終回は驚きの連続でいくつもの爪痕を残して有終の美を飾った。
◆最初の逆転は倫子と家治の関係を史実から…
フジテレビの『大奥』は、御台所と側室の住居としての大奥そのものの物語で、小芝風花を主演に抜擢し、十代将軍・家治(亀梨和也)に嫁いだ皇族の五十宮倫子(小芝)が、陰謀渦巻く大奥で格闘する。
(以下、ネタバレがあります)
最初の逆転は、倫子と家治の関係。史実では仲睦まじい夫婦であったと言われるふたりの出会いを、ドラマでは冷めたものにした。さらに家治に出生の秘密があって……。
そして、倫子と松平定信(宮舘涼太)との関わりを濃く描き最終回まで引っ張った。最終的には、倫子と家治に強い絆が生まれ、定信の陰謀を倫子が封じるという痛快な展開だった。
◆逆転の最たるものは、家治が倫子に託した思い
家治が最終回の冒頭で病が悪化して亡くなってしまうことにはさみしくあったが、家治は死してなおとても重要な部分を担っている。逆転の最たるものは、家治が倫子に託した思いであった。
初回からずっと、倫子は大奥で家治の寵愛と彼の子供をもうけることを最大の目的にした女たちの戦いの渦に放り込まれてもがき苦しむ。そのなかで流産するというとても悲しい経験もした。
家治の望みは、いがみ合ったお知保(森川葵)とお品(西野七瀬)と倫子の3人を「3つ葉葵」の3枚の葉に見立て、将軍家を守ってもらうこと。
お品が産んだ、家治の忘れ形見である貞次郎を死んだことにし、名を変えこっそり育てさせる。倫子の猫を増やすという考えに対して、家治が猫を隠すアイデアを考えついたという流れは良かった。
こっそり育てられた子はやがて11代将軍・徳川家斉となる。それを演じたのが鈴木福というのもサプライズだった。ほんの少ししか出てこないのに印象的だし、ありがたい感じすらするのはさすがである。
◆60年代から『大奥』ドラマ化のフジテレビ、令和にどう描いた?
さんざん大奥での女性同士の陰湿な虐めを描いたすえ、芽生えた女性たちの連帯の象徴を三つ葉葵に見立てるという冴えたアイデア。
このラストをまず決めて、逆算して作ったのかもしれない。前半の虐め描写の数々が執拗過ぎたことも、最終回、女たちが足を引っ張り合うのではなく連帯する時代への希望のためだったのだろう。
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