餃子の王将事件は企業テロか?「裏社会の警告説」を考察
TABLO / 2014年4月28日 11時1分
昨年12月に起こった「餃子の王将・社長射殺事件」の捜査が依然難航している。これは裏社会側から見ると、どの様な解釈が出来るのだろうか? 過去、日本で起こったいくつかの射殺事件を見ると、この謎を解く鍵はアンダーグラウンドシーンに隠されているのがわかる。
筆者はこれまで犯人は暴力団関係者か、あるいは単発で雇われた外国人ではないかという推測をしてきた。しかし、暴力団が「一般人に手を出す」事はあまりない。ただし、特別なケースもあった。そんな前例を振り返りながら「餃子の王将事件」の背景を考察したい。
平成5年に和歌山県を中心として銀行業務を行って、その後経営破綻した阪和銀行副頭取であった人物が自宅前で何者かに射殺された。阪和銀行は裏社会の人間から「貯金箱」と呼ばれ、その周辺には総会屋から右翼団体、暴力団関係者が生息し、不正融資、政治献金が数多く繰り返され、バブル後の債権回収にかなり苦労した銀行だった。
そんな最中に、裏社会との窓口を担当していた副頭首が射殺された。この事件では犯人が逮捕され、企業が総会屋との絶縁を宣言した事に対しての報復であった、と自供している。
しかし、犯人は裁判で、殺すつもりはなく、脅し目的だったと主張し平成11年に懲役11年の判決が下され、現在は出所しているはずだ。この事件で印象深かったのは、この実行犯への報酬がわずか5万円だけであり、運転手に至ってはパンと牛乳だけだったと言う事実だ。そもそも、富士写真フィルムから絶縁宣言された暴力団系総会屋から、この組員が所属する暴力団組織へ支払われた報酬はたったの10万円という金額だった。
だが、この「阪和銀行副頭首射殺事件」は、その後に続く「企業テロ」の発端に過ぎなかった。
その翌年、平成6年には、富士フィルム写真フィルムの専務が世田谷区の自宅で刺殺され、住友銀行の名古屋支店長も自宅マンションの玄関前で銃殺されている。これら一連の事件はいずれもが金銭に絡むトラブルが要因で、裏社会からの警告だった、と考える関係者は多い。
これまで「表の企業」とうまく付き合い、甘い汁を吸っていた裏社会の人間が距離を置かれたと感じた時、どのような行動に出るか。それはひとつしかない。嫌がらせや迷惑行為を含めた何らかの見せしめを取る、ということだ。嫌がらせにしても彼らは性質が悪い。法に触れない、報道されないギリギリの線で何度も同じことを繰り返すのだ。こういった嫌がらせは、金融機関でも銀行のように一般窓口業務を抱えている企業には特にダメージが大きい。報道されない、通報できない嫌がらせの一例を挙げれば、1円の新規口座開設と解約を繰り返す延々と何人も使って繰り返す行為などがある。
そして、「見せしめ」の中でも、失う利益の大きさに比例する恨みをもっとも感じさせるのは、身体への危害だ。上記の事件はどれも一般社員ではなく、企業のトップを狙っている。今回の「餃子の王将社長殺害事件」の動機が大連出店のもつれであり、警告であったらとしたら見せしめである可能性は否定できない。
一方で、創業家の3代目が行方不明になり5年以上が経過した。ウクライナ人の妻と子供を含む3人でエジプトに家族旅行に向かい、その後、妻を置いて消息不明というミステリーな失踪劇である。餃子の王将では本誌既報の通りだが、表に出て来ない内紛などもある。この不気味な三代目失踪事件を、創業家だけの問題と考えるのか。それともすでに裏社会からの警告は始まっていたと考えるべきなのか。もし、「餃子の王将」側が前者のように捉えていたとしたら、裏社会の苛立ちはピークに達していたのかもしれない。
企業テロは被害を受けた企業の側が捜査に協力的でないのも特徴だ。企業の痛い腹を探られたくないとの防衛本能が、事件の解決を大きく遅らせてきた。今回の事件に限ってはそんなことがないことを祈りたい。
Written by 西郷正興
Photo by wikipediaより
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