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振り込め詐欺犯が有名ラーメン店のオーナーに?ATM一斉引き出し事件のウラ事情

TABLO / 2016年8月26日 21時13分

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 未だに振り込め詐欺の被害が跡を絶たない。平成28年度の警察庁の発表によると上半期で前年度の被害よりは多少低くなっているが、約200億と言う数字に上る。劇場型犯罪とか手法は変わってきているが、基本的にはいくつかの手法に分けられる。

 その方法は古典的なオレオレ詐欺から架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金詐欺、金融商品詐欺、ギャンブル必勝法詐欺、異性との交際斡旋詐欺......まだまだあるが、この様な詐欺が猛威を奮っている。

 筆者は儲け話に釣られる被害者には正直、あまり同情はしない。それは被害者側にも儲けようと言う魂胆があるからだ。しかし、最近の特殊詐欺は、儲けようなどとは考えない被害者の心理を巧みに操り、金を搾取してしまう。こういった詐欺犯を決して許す事は出来ない。

 先日、筆者は特殊詐欺で懲役に行き帰って来た人間と数年ぶりに会食をした。当時の事情、使い道、昨今の事情などを聞いてみた。彼は40代にも手が届く関東出身の半グレである。以下は一問一答である。

◇◇◇

――懲役は何年だったのか?
「仮釈もあったので、実質5年半です」

――事件の内容を聞くと人物が特定されてしまうので、細かい事はいいですが、被害弁償はしたのか?
「してないです、主犯は別にいますから」

――主犯の事はいいとして、詐欺で稼いだ金は何に使ったのか?
「ほとんど遊びで使いましたね、キャバクラで豪遊とか、みんなで大騒ぎして使い果たしましたよ」

――当然だけど被害者の事は考えなかったのか?
「多少後ろめたさはありましたよ、だけどそんな事は遊んでいる内に忘れてしまうんですよね」

――よく詐欺の金を浄化して、事業を行っている人間がいるが、その様な事は考えなかったのか?
「よくいますね、IT業界とか言われていますけど、回りにはそんな事をやってる奴は1人もいません、ほとんどが『ラーメン屋のオーナー』ですよ」

――え?? それは初めて聞く話だけど......。ラーメン屋?
「大声出して、張り切っているラーメン屋いますよね、腕組みして威張っている様な人達。有名にもなっているラーメン屋の何人かは、自分らみたいな道の出身者ですよ」

――それは初耳だけど。自分らみたいな道とは?
「半グレとかそんな人間ですね、だから身内になる従業員には寛容なんですよ。大声出して、気合を見せればOKですから。その様なラーメン屋はチェーン店多いですよね、多少の頑張りを見せればノウハウを全部教えてくれる感じの。それらを全て習得したら独立して店を新しく出している人間は多いです。都内の有名な行列が出来るラーメン屋もなんかもそうです」

――ラーメン屋の原価率は異常に低いと言うよね?
「かなり儲かっていると思います。詐欺で儲けて、金を隠し持ってラーメン屋に投資。で、さらに儲けて夜は豪遊。歌舞伎町のあるキャバクラはこっちではあのグループ、こっちでは他のグループでシャンパンを開けて凄いです。そこに警察が私服で大人しく飲んでいたり」

――今年の5月に日本国内で一斉にATMから18億円が引き出された事件で、どんどん逮捕者が出ている。彼らは出し子を大量に探していたようだが。
「あれですね、あの事件は出し子を探してくれ、と頼まれました」

――それは報道されている暴力団員?
「違いますね、複数の組織からです。あれには裏があって黒幕がどこかにいるはずなんですよ。それで暴力団は下請けみたいなものだと思います」

――その根拠は?
「複数の暴力団員から同じ値段で探してくれ、と言われた事。取り分が異様に少ないからです」

――その話は聞かなかった?
「聞かないですよ、正直興味ないですから。だけどあの事件はしっかりとした黒幕がいます。日本全国で一斉に同じ時間にATMから引き出すなんて、ヤクザでは出来ません。詐欺の立案者、軍師がいないと」

 5月に発生した「ATM18億円不正引き出し事件」。全国17の都府県にあるセブンイレブンなどのコンビニのATM1700台が狙われたこの事件では、南アフリカの銀行から流出した顧客データを使って、偽造クレジットカードが作られ、キャッシングによって、不正に現金が引き出されたことが分かっている。

――この事件でもどんどん全国で暴力団組員が捕まっている。
「それはみんな声を掛けられて仕事に乗ってしまったからでしょう。単純に、詐欺の末端仕事である"出し子"関連業者だけが捕まっているんですからね。だから捕まったヤクザたちはそんなに儲けてはいないはずです」

◇◇◇

 筆者は、この事件の核心部には外国人が絡んでいると考えている。そして、この事件は日本の犯罪史において、エポックメイキング的な要素が隠されている。それは、ヤクザと外国人の立場逆転である。今までの構図では、暴力団が犯罪の下請けに外国人を使うのが当たり前だった。事件の全容解明にはまだまだ時間が掛かるであろうが、徐々に逮捕者も増えている。一般人に直接被害がなかったことが唯一の救いだ。

Written by 西郷正興

Photo by K-SAKI

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