「ジャニーズ性加害当事者の会」会見 東京新聞記者の長質問に被害者の妻が激しく反応 記者は何のために記事を書くのか
TABLO / 2023年9月6日 15時0分
前回の会見で声明を読み上げる平本代表。
世の中、議論が起きると必ず「ノイズ」が発生します。ともするとこれは議論の正否を分からなくし、論点ずらしにもなります。これからも続くでしょう、ノイズの発生は。
ジャニーズ事務所性加害騒動ですが、7日に藤島ジュリー景子代表取締役社長が記者会見をします。これは第三者委員会とでもいうべき、「再発防止特別チーム」の報告書での提言と指摘を受けてのことと言って良いでしょう。この騒動で問題となるのは「性加害者」ジャニー喜多川氏の責任です。報告書ではジャニー喜多川氏について、「異常」という表現を少し確認しただけで2回は使っています。
「異常」。
「異常な人の元で行われた性加害」というのが、報告書を素直に読めばこの騒動を表現する事が出来ると思います。
イギリスでナイトの爵位を授与されていた国民的司会者・タレント、ジミー・サビルと今回の騒動はよく比較されます。数百人もの未成年の男女に性加害繰をくり返し、彼の死後、告発者たちの証言によって非道ぶりが明らかになります。ネットフリックス「ジミー・サビル: 人気司会者の別の顔」を見て知った人も多いでしょう。ジャニー喜多川氏と相似形のようです。
今回の件はここがキモであり、この被害・加害の落とし前と謝罪。そして今後のジャニーズの体制ひいては芸能界のいわば性加害に対して、どう向き合うのか。ここにフォーカスを当てなければノイズだらけになり、何のための当事者たちが声を挙げたのか。再発防止特別チームが報告書を提出したのか、ぼやけてしまいます。
当事者の会や代表の平本淳也氏に対してのネットのアンチの反応は、個人的には「まあそうだろうな」とは思います。一時は「作家」をに名乗ったこともある氏ですので、調べたり取材したり分析するのは好きなのです。
ジャニーズ事務所に対しても、人間関係などや各グループについて、ネットや文章などで分析を発表しています。性格は毀誉褒貶の激しい人と言っていいかも知れません。
ただ、これこそが「ノイズ」なのです。
彼がジャニーズ事務所で体験した異常な出来事は「ジャニーズのすべて」(データハウス)で、発行した通りであり、これが本線です。
また6日に「当事者の会」の会見では、刑事告訴を匂わす主旨のコメントを元ジャニーズ達と弁護士が発しました。その中で「融和的にジャニーズ事務所とは話していきたい」旨の発言を石丸副代表が発した事に対して、東京新聞記者が噛みつきました。
「告訴を匂わして、融和とは矛盾しているのではないか。どう記事を書けば良いのか」という事なのですが、とにかく質問が長い。主張を延々として最後に「で、どうですか」というパターン。石丸副代表は「融和」という表現は訂正しますと最後の方で発言。質問も数回繰り返され、まるで当事者の会(性被害に遭った人たちです)が、つるし上げられているようにも見えます。
途中で被害者である服部氏の妻が「この人たちは、ここに出たい訳ではない。わかって」と諭すように記者に抗議します。被害者こそ当事者なのです。当事者性の重視は事件取材では非常に重要です。
福島第一原発事故を例に出しますと、取材した僕らは彼ら当時者の気持ちは100%は分かりません。けれど100に近づける努力をします。ひたすから話を聞くのです。聞いて聞いて聞きまくる。それでようやく被害者の信頼を得る事が出来、本音を話してくれるものだと思います。自分の主張はいりません。ただ、「私はこういう人間だ」と分かってもらう為に、説明する場合はありますが。
8月にLOFT9で吉田豪君とのトークイべントでゲストに平本淳也さんを呼びました。他に元ジャニーズジュニア3人が加わったイベントです。彼らは記者会見のような堅い場所でないので、フランクに体験を話してはくれましたが、僕は(吉田君も)いたたまれなかったですし、神経を遣いました。
僕も目の前でジャニーズジュニアの皆さんたちを見て、笑ってはいますが、この人たちの気持ちはこの人たちにしか分からないと思いました。平本代表とは長い付き合いですので、かなりフランクに話しており、その流れで元ジャニーズの皆さんも(無理にでも)明るく話してくれました。冗談を交えて。
僕は礼儀として(というと変な表現ですが)笑いましたが、当然心から笑っていません。アラフィフ、アラフォーの大人が当時を思い出して、涙する姿をネットフリックスや「クローズアップ現代」(NHK)などを見れば、とてもではないけれど冗談ぽくうけ取れませんでした。
控室でも笑いはほとんどなかったはずです。それほど気をつかいました。性被害・性加害は繰り返しますが本人にしか分からない問題だと思っているからです。福島第一原発事故では、ひたすから被災者の声を聴きました。ようやく、少しの信頼を得る事が出来ました。
新聞は何のために記事を書くのでしょう。記者の正義感を満たすためでしょうか。違いますよね。(文@久田将義)
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