大手損保・自動車保険の暴排条項導入によって「ヤクザのひき逃げ」が急増する可能性!?
TABLO / 2013年11月25日 19時0分
日本損害保険協会に加盟し、自動車保険を扱う損保17社ではいずれも、約款改定の時期の10月から導入したか、導入を検討している。協会が全国的な流れを受け、昨年12月に暴排に向けたモデル約款を策定し、加盟各社に採り入れるよう勧めた。
この動きは暴力団関係者だけではなく、一般人にとって大きな問題になっている。たとえば自動車事故を起こした場合、通常は両者の間に損保会社が間に入り、加入している保険で全てが支払われる。だが今後は、自分が被害者だろうと加害者だろうと、相手が暴力団関係者だと判明したら、一般人は自分で対応、交渉しなくてはいけなくなる恐れがあるのだ。
一般人が直接、暴力団関係者と交渉できるのだろうか。それでなくても暴力団関係者を相手に闘ってくれる弁護士はひじょうに少ないのが現状だ。ある暴力団関係者は語る。
「カネのない暴力団組員が事故を起こして、ひき逃げが増えるんじゃないかと心配している。それでなくても、今はどこもシノギが大変で苦しいわけだから」
暴排の動きで一般人が迷惑を被るのであれば本末転倒だ。北九州を例にみても、過去に暴力団追放運動の関係者や飲食店、一般企業が銃撃を受けたり、攻撃対象になっている。関係事案の公判においても、暴力団への恐怖から証言者が証言を拒否するなどの異常事態が起こっている。
極論になるが今回の大手損保の動きは、「暴力団関係者は車に乗るな」ということ。だが、これは暴力団関係者に免許を交付しないなど徹底的に根本から締め付けなければ意味はない。それが嫌ならなら暴力団を辞めて、カタギになればいい、と言う声も上がるだろうが、カタギになっても仕事が見つからないために、カタギに成りきれずに、より地下に潜ってしまうのが現状だ。国が行っている就労支援も決してうまくはいっていない。
そして何より、暴力団相手にした交通事故の補償は誰が行うのか。その答えは何も示されていない。これがいちばん問題である。
Written by 西郷正興
Photo by srslyguys
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