地上最強の「ビースト」日本に現る! アメリカ大統領専用車「キャデラック・ワン」が話題に! G7広島サミットに合わせ複数台上陸へ
くるまのニュース / 2023年5月19日 11時50分
2023年5月19日から21日まで「G7広島サミット」が開催されます。アメリカ合衆国大統領ジョー・バイデン氏もそれに合わせて来日しました。毎回アメリカ大統領と共にやってくる「ビースト」とはどのようなクルマなのでしょうか。
■世界中、大統領専用車「ビースト」がどこでもお出迎え
2023年5月18日午後、広島県広島市で開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)「G7」出席のためアメリカ合衆国大統領ジョー・バイデン氏が来日しました。
今回は広島に滞在するため大統領専用機「エアフォース・ワン」が降り立ったのは広島県のお隣にある山口県岩国市の米海兵隊岩国航空基地(以下、岩国基地)です。
そこから、バイデン大統領は専用ヘリで広島ヘリポートに移動しましたが、ヘリポートに到着した大統領を出迎えたのがおなじみ「大統領専用車ビースト」です。
ビーストに乗り換えた大統領は日米首脳会談の会場となっているホテルまでの約10分間を移動しました。
なお、2022年5月にバイデン大統領が初来日した際には米軍横田基地にエアフォース・ワンが降り立ち、その後迎賓館やホテルなどへの移動にはビーストが使われました。
なお米軍基地を使用するのは警備上の理由が主たる理由と考えられますが、これまでオバマ大統領やトランプ大統領が来日した際には羽田空港が使われたこともあります。
大統領が来日する数日前にはビーストを運んで来た輸送機などが大統領を迎え入れる準備のために空港で待機します。
今回も大統領到着の3日前となる5月15日に米大統領専用ヘリコプター2機と大型輸送ヘリコプター3機が広島ヘリポートに到着しています。
2023年5月10日、大統領専用ヘリ「マリーンワン」に乗り込むジョー・バイデン大統領(AFP=時事)
バイデン大統領の空路での広島入りルートを確認し、離着陸の予行演習をするなどの準備を行うことが目的です。
米国の大統領が海外に行く際も大統領専用車は必ず同行し、専用車だけではなく、前後には数十台の車列も一緒に移動することがお馴染みといえます。
■大統領専用機は「エアフォース・ワン」という言い方が有名だが…専用車はなぜ「ビースト」(BEAST)と呼ぶのか
その頂点にも相当する地上最強のクルマ「ビースト」とはどのようなクルマなのでしょうか。
まずは、なぜ大統領専用車を「ビースト」(BEAST)というのかを説明します。
実は「ビースト」とはあくまでも愛称で正式な名称(コードネーム)は「ステージコーチ」です。
エアフォース・ワン、マリーン・ワンと同様に、キャデラックをベースとした専用車であるため「キャデラック・ワン」とも呼ばれます。
なお、「ワン」(ONE)とは、大統領専用の乗り物を意味しており、機種や車種にかかわらず「アメリカのトップが乗る」のりものは、「1番」の意味の「〇〇〇〇・ワン」と呼ばれます。すべての乗り物が常時「〇〇〇ワン」を名乗っているわけではありません。
2023年5月18日、広島で開催されるG7広島サミットを前にバイデン大統領を乗せた大統領専用ジェット「エアフォース・ワン」が海兵隊岩国航空基地に到着(画像:AFP=時事)
ビーストの愛称がはじまったのは2001年、ブッシュ大統領時代です。
現在、バイデン大統領が使用しているビーストは2018年9月トランプ大統領時代にデビューした3代目となります。
重量は9トン前後という非常に重いものでトヨタ「ランドクルーザー300」やメルセデス・ベンツ「Gクラス」などの重量級SUVがおよそ2.5トン前後なので、ビーストはその4倍近くになります。
「戦車」以上の性能を持つ地上最強のクルマ「ビースト=野獣」という意味をこめて車両の所有者であるアメリカ大統領シークレット・サービスが「the beast」の愛称で呼ぶようになったのが始まりです。
※ ※ ※
ところで大統領専用車はどのようなタイミングでリフレッシュされるのでしょうか。
実は約8年ごとに新しくされる決まりがあります。現在のビーストは2018年にデビューしていますから、少なくとも2025年頃までは現在の仕様のままで使用されると考えられます。
大統領が代わるタイミングとはあまり関係がないようですが、内装のクリーニングやシート表皮の張り替えなど傷んだ場所の補修やリフレッシュは随時行われているでしょう。
大統領が代わると大統領の好みに合わせてある程度の仕様も変更されますし、また装甲の仕様なども世界情勢に対応して随時、強化されていると考えられます。
■さすがは、アメリカ大統領専用車…ビーストの仕様は何がすごい?
現在のビーストは約17億円をかけてセキュリティの強化が行われています。
本体は約20cmの装甲メッキが施されており、耐爆仕様となっている車両底部には装甲床板が備わっています。
窓の厚さは、なんと13cmもあり44マグナム弾を止めることが可能。ポンプアクションショットガン、ロケット式手榴弾、暗視装置、催涙ガス手榴弾がすべて搭載されていると言われています。
また、化学物質による攻撃を受けた際には化学物質を車内に侵入させないよう、車内を完全に密閉することができ同時に特別な換気機能が作動します。
分厚いドアはボーイング757ジェット機と同レベルの重さがあり、これらの装甲や装備によってビーストの重量は非常に重くなっており、静止状態から100km/hまでの加速には約15秒もかかるのです。
まさに地上最強と言われるにふさわしい装備ですが、実は全部で10台以上が製造されています。
近年は、日本には2台の全く同じ仕様のビーストが持ち込まれていますが、バイデン大統領の就任式にはビースト7台が参列。7台以外にも予備のビーストがスタンバイしていたと考えられます。
2023年5月13日、大統領専用ジェット「エアフォース・ワン」に搭乗するために「ビースト」から降りたジョー・バイデン大統領(画像:AFP=時事)
また、バイデン大統領に代わって確実に変化している装備は「貯蔵される血液」です。
ビーストには大統領が攻撃を受けて負傷し輸血が必要になった際の「血液貯蔵庫」が装備されていますが、NBCをはじめアメリカの大手メディアの報道にある通り、それら輸血用の血液は大統領自身の血液を貯蔵。それゆえ、大統領が代われば当然、貯蔵される血液も変わるというわけです。
※ ※ ※
日本に持ち込まれるビーストには毎回、日本にある各国の大使館車両と同じ青地に白い文字で印字された「外」マークがついた青いナンバープレートが付けられています。
なお、外ナンバーの最初の2桁はアメリカ大使館に割り当てられる「82」「83」「84」「87」の4種の国番号です。
外ナンバーは日本国内に存在する大使館や領事館向けの車両として外務省によって交付されていますが一般のナンバープレートのように道路運送車両法に基づく番号標識ではないため、日本の保安基準を満たさずとも交付が可能となります。(大使館などで使用するクルマに初めて交付する際には販売証明書と任意保険の証書が必要となります)
なお「外」ナンバーも一般のナンバープレートと同様、同じ番号のプレートが2枚1組となって交付されています。
5月19日には初めてG7首脳がそろって平和記念資料館を視察する予定です。この際の移動もビーストが使われることでしょう。
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