魚になかった品質の「物差し」確立目指す 愛媛の赤坂水産、冷凍魚の価値向上へ
共同通信 / 2024年5月15日 8時3分
愛媛県西予市の養殖業者「赤坂水産」が、魚の品質を示す指標づくりに乗り出した。通信大手ソフトバンクなどと連携し、マダイの鮮度やうまみ成分、食味検査のデータを収集。人工知能(AI)で相関関係を調べる。果物の糖度や肉の等級といった、消費者が一目で分かる「物差し」を導き出し、冷凍魚の価値向上や魚食文化の活性化を目指す。(共同通信=松田大樹)
取締役の赤坂竜太郎さん(38)は大学で数学を専攻、保険会社勤務を経て2012年に家業に加わった。「持続可能な養殖業を実現したい」と、経験や勘が浸透した生産現場にデータ分析の手法を導入。AIによる自動給餌機を使ったり、餌に使う魚粉の量を抑えて育てた「白寿真鯛0(はくじゅまだいゼロ)」を国内外で売り出したりしてきた。
今回の取り組みは「魚には統一された品質規格がない」という問題意識から始まった。魚の価格は魚種と重量で決まるのが一般的で、消費者には「冷凍より活魚」「養殖より天然」といったイメージが定着している。
さらに物流の「2024年問題」で、長距離の鮮魚運搬が困難になる恐れが出てきた。大消費地から遠い愛媛県では、おいしい冷凍魚を出荷し、品質を落とさず輸送することがより重要になる。「品質を示す指標があれば販路拡大につながる」と考えた。
以前から付き合いのあったソフトバンクに相談、県産業技術研究所などを交えた事業体が今年1月から本格始動した。
指標づくりに必要なデータ収集は「地道な作業です」と赤坂さん。部位ごとにパッキングしたマダイの切り身に光センサーを当てて波長を測定。県の研究所では魚を砕く破壊検査で、鮮度を示すK値や、うまみ成分の遊離アミノ酸を分析する。
宅配ずし「銀のさら」を運営するライドオンエクスプレス(東京)からは、すしネタを調達する担当者が参画、味や食感を確かめる。
こうした検査を魚の締め方や、さばいた後の保存日数など条件を変えて実施。センサーで測定した波長との相関関係をソフトバンクのAIで調べる。
学習データを蓄積し精度を高め、魚の身に手のひらサイズのセンサーを当てるだけで「パソコンやスマートフォンからおいしさに関する情報がすぐに分かる」仕組みの構築を目指す。
例えばコーヒーには、苦みやコク、後味などの項目を5段階で評価するレーダーチャートがあるように、複数の指標を示すことで「消費者が好みの魚を選択できるようにしたい」と構想を描く。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
これまで「1kg数円」で処分していたが…マグロの希少部位「血合い」に水産業界の注目が集まっている理由
プレジデントオンライン / 2024年6月4日 10時15分
-
全国5万店あった鮮魚専門店はもう1万店を切った 激変する日本の水産流通、街から消える「魚屋」
東洋経済オンライン / 2024年5月31日 7時50分
-
日本の水産業を元気にするイタリアンレストランが東京・渋谷にオープン!
PR TIMES / 2024年5月28日 9時45分
-
自販機で400円「ヒラメの刺し身」売る家族の物語 企業理念は「臨機応変に対応」挑戦した直販の道
東洋経済オンライン / 2024年5月16日 14時5分
-
月に50万円売る「魚の自販機」大ヒットの舞台裏 人口数十人の小さな集落に、客が途切れないワケ
東洋経済オンライン / 2024年5月16日 14時0分
ランキング
-
1マクドナルド 「サムライマック」の「炙り醤油風 トリプル肉厚ビーフ」14日から期間限定発売 ファン「今回こそ!」「絶対うまいやつだ」と感激
iza(イザ!) / 2024年6月13日 13時13分
-
2ロピア、18商品で不適切表示 菓子や調理食品の原料など表示せず
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月13日 16時15分
-
3内定辞退者を追い詰めるいなば食品社長が「哀願手紙」を京都大学に送っていた!
文春オンライン / 2024年6月13日 17時30分
-
4本当のお金持ちは100円ショップでも1点しか買わない…貯められない人ほど「100均での爆買い」をするワケ
プレジデントオンライン / 2024年6月13日 9時15分
-
5定形封書は110円、はがきは85円に…10月から郵便料金を値上げ
読売新聞 / 2024年6月14日 5時16分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください