1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

認知症の病因「タウタンパク質」の病変を抑制 〜Mark4遺伝子欠損がマウスのタウオパチー症状を改善~

共同通信PRワイヤー / 2024年4月22日 14時0分

写真

図1

1.概要

アルツハイマー病など認知症の原因となる多くの疾患では、脳にタウと呼ばれるタンパク質が凝集して蓄積し(タウオパチー)、それが神経細胞を殺し、脳を萎縮させると考えられています。しかし、これらの疾患でどうしてタウタンパク質が凝集、蓄積するのかは、よくわかっていません。タウは、疾患脳では過剰な「リン酸化」という修飾を受けており、それが蓄積を引き起こすのではないかと考えられています。また、このタウのリン酸化を媒介する酵素の一つ、MARK4は、アルツハイマー病のリスクの増加とも関連することが知られています。東京都立大学大学院理学研究科生命科学専攻のGrigorii Sultanakhmetov大学院生(当時)、斎藤太郎助教、Adam Weitemier准教授、安藤香奈絵准教授らは、MARK4という酵素を欠損したマウスでは、タウの凝集が減少することを発見しました。ヒトの疾患の原因となるタウを神経細胞に発現したマウスでは、神経細胞のネットワークが壊れ、脳内で炎症が起き、認知機能が低下し、寿命が短縮しますが、MARK4を持たないマウスでは、タウによって引き起こされるこれらの症状が改善されました。本研究から、MARK4がタウの異常な蓄積とそれによる脳機能低下に関わることがわかり、MARK4の阻害がアルツハイマー病など認知症の原因となる疾患の治療に役立つ可能性が示されました。


2. ポイント

・脳の神経細胞におけるタウの凝集と蓄積(タウオパチー)は、アルツハイマー病やその他認知症の原因となる疾患を引き起こす。

・MARK4という酵素を欠損したマウスは、タウの凝集が起きにくいことがわかった。

・MARK4欠損によって、タウによる認知機能低下や寿命短縮が改善した。

・MARK4の阻害は、タウの凝集と蓄積を緩和し、認知症の治療に役立つ可能性がある。


3. 研究の背景 

日本を含む多くの国が高齢化社会を迎え、アルツハイマー病など加齢に伴う神経変性疾患の発症率も増加しています。これらの神経変性疾患では、脳の機能を担っている神経細胞が次第に死んでいくため、記憶障害や生活機能障害が引き起こされます。また、その特徴的な病変として、脳の神経細胞の中にタウと呼ばれるタンパク質が凝集して沈着している現象が見られます(タウオパチー)。異常に凝集したタウの量は疾患の進行に伴って増加し、この凝集したタウは神経毒性を持つことがわかっています。そのため、タウの蓄積の抑制は、タウオパチーを伴う認知症の治療戦略として検討されていますが、どのようにタウの凝集と蓄積が起きるのかははっきりとわかっていません。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください