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最先端材料科学研究:材料分析に新たな風

共同通信PRワイヤー / 2024年5月13日 11時0分

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図の説明:開発されたiSPEMの模式図と得られる結果の例

電子スピン状態のより高分解能・高効率な探査が可能に


2024年5月13日

Science and Technology of Advanced Materials: Methods


国立研究開発法人物質・材料研究機構の研究員、矢治光一郎と津田俊輔は、物質中の電子のスピン状態を可視化できる顕微鏡を開発した。スピンと呼ばれる量子力学的性質は、日常世界の物体の回転よりも難解だが、電子の角運動量の一つである。電子のスピン状態は、材料の電気的・磁気的挙動に大きな影響を与えている。


矢治と津田が開発した技術は、イメージング型スピン分解光電子顕微鏡(iSPEM)と名付けられた。これは、物質中の電子と光の相互作用を利用して、スピンも含めた電子の振る舞いを可視化するものである。特に、スピンの偏りの度合い(スピン偏極度)に焦点をあてている。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202405080457-O1-sSi4mBuX

図の説明:開発されたiSPEMの模式図と得られる結果の例


 

研究チームのiSPEM装置は、試料を準備・分析・保管するための、相互に接続された3つの超高真空チャンバーで構成されている。試料に紫外光を照射すると、電子は光エネルギーを吸収して試料から放出され、光電子分析器でそのエネルギーを分析した後に、スピンフィルターにおいてそのスピン偏極度が分析される。結果は画像として表示され、研究者は材料中の電子スピン状態に関する情報を得ることができる。この成果は、Science and Technology of Advanced Materials: Methods (STAM Methods) 誌に掲載された。


「従来の装置と比較して、私たちのiSPEM装置はデータ取得効率を1万倍に向上させ、空間分解能も10倍以上向上させました。これにより、「これまでの実験装置では計測できなかったサブミクロンスケールの微小な材料やデバイスの電子構造の可視化が可能になります」と矢治研究員は語る。


急速に発展している量子分野やスピントロニクス分野では、従来の電荷の利用に加えて、電子のスピンが情報の伝達や処理に利用されている。これらの研究分野において、スピン計測技術の進歩は、スピンを利用した情報処理や電子デバイスの新規開発や性能向上のための研究を加速させることに直結する。

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