社説:「消滅」自治体 持続可能なまち模索を
京都新聞 / 2024年4月26日 16時5分
人口減少が加速する中、自治体のサービスやコミュニティーをどう維持していくのか。持続可能な地域づくりを考える一つの契機と受け止めたい。
経済界有志らでつくる民間組織「人口戦略会議」が、全国自治体の40%超に当たる744自治体で人口減少が深刻化し、将来的に「消滅の可能性がある」との報告書を発表した。
20~39歳の若年女性が、30年後に半分以下に減ると推計される自治体を当てはめたという。
京都府では宮津市や京丹後市、京丹波町、宇治田原町など9市町村、滋賀県では高島市と甲良町が含まれた。
同様の報告は2014年にもあり、896自治体が挙げられ、一定の反響を呼んだ。少子化対策や東京一極集中の是正を促す狙いだった。
今回、該当数が減った要因は、外国人住民の増加とされ、少子化や一極集中の流れに変わりはない。子育て支援策などで競い、近隣自治体間で住民を奪い合うばかりでは解決せず、国全体での底上げが欠かせない。
地方の課題としては、若い女性の就労環境の整備が不可欠だ。新型コロナウイルス禍で広がったリモートワークの定着を含め、大都市集中型の社会の見直しを企業にも求めたい。
人口減を前提に、まちの機能を適正化させることも検討すべきだろう。
すでに学校の統廃合や公共施設の整理、役場機能の集約化などで維持費削減に取り組む自治体が出ている。
出生率が低く、他地域からの人口流入に頼る「ブラックホール型自治体」の定義が新たに採り入れられた。京都市や大阪市、東京都内の16区など都市部が該当するという。このままでは高齢者比率が急増し、いびつな構造になるとの警鐘だろう。
「消滅」という言葉はインパクトがある一方、自治体を名指して地道な努力を踏みにじりかねない。市町村だけの問題と誤解されかねず、首長の中には批判の声も聞かれる。出産する前提で、女性人口の半減を「消滅」の判断材料としたことも問題はないだろうか。
人口減少は、少子化対策だけでなく、働き方や社会保障の在り方なども含め、社会全体で取り組むべき問題だ。
まずは国が将来像を示した上で、自治体がそれぞれの魅力をどう発揮するかが問われよう。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
子育て世帯優先レーンは不公平なのか 政府が取り組む「こどもファスト・トラック」とは
CBCテレビ / 2024年5月7日 6時2分
-
「消滅可能性」脱した自治体の戦略とは 福岡県香春町などが脱却
RKB毎日放送 / 2024年4月26日 19時35分
-
『秋田県内24の市町村が"消滅可能性自治体"に該当』と発表 「人口戦略会議」
ABS秋田放送 / 2024年4月24日 19時13分
-
自治体4割が「消滅の可能性」 人口戦略会議、少子化に警鐘
共同通信 / 2024年4月24日 13時32分
-
744自治体、消滅可能性 4割超、30年間で女性半減
共同通信 / 2024年4月19日 21時35分
ランキング
-
1愛子さま「夢みる光源氏」展をご覧に 初の単独ご公務、国立公文書館で
産経ニュース / 2024年5月11日 20時56分
-
2郵便局に車突っ込む、名古屋 けが人なし
共同通信 / 2024年5月11日 16時31分
-
3謎だらけ…“紀州のドン・ファン”事件、その後は?「55 歳年下」元妻、3 年ぶりに公の場へ 開かれない裁判ナゼ
日テレNEWS NNN / 2024年5月11日 14時4分
-
4栃木・那須2遺体 6容疑者が役割分担、殺害も共謀か
毎日新聞 / 2024年5月11日 19時19分
-
5夜の踏切で男性が特急列車にはねられ救急搬送 ケガの程度不明も搬送時は意識あり 約2時間運転見合わせに
東海テレビ / 2024年5月12日 6時55分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください