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『ドラクエ』の王様はみんなケチ?「世界を救え」という割には貧弱過ぎる初期装備

マグミクス / 2023年4月2日 20時10分

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■これから世界を救う勇者に、王様はどんな装備を授けるのか?

 昨今ではRPGの切り口も多様化し、時代設定やシチュエーション、背景となる文化も大きく異なります。ですが、ファミコン時代はファンタジー世界が主流で、主人公たる勇者を王様が送り出すケースも頻繁に見られました。

 これから世界を救う旅に出るにあたり、大事なのは初期装備。いずれ買い換えるにしても、序盤の敵に手こずるかスムーズに倒せるか、立ち上がりに大きな違いが現れます。そしてファミコンRPGの多くでは、王様からの支援がその鍵を握っていました。

 魔王を倒すために旅立つ勇者に、王様はどんな支援を施してくれたのか。ファミコンRPGの代表作ともいえる『ドラゴンクエスト』シリーズの初期4作を例に、初期装備の事情を振り返ります。

●初代『ドラゴンクエスト』の王様は、気配りが足りない!?

 コンピュータRPGの面白さを、国内の少年少女に広く伝えた初代『ドラゴンクエスト』。本作で、初めてこのジャンルに触れたプレイヤーが多数いました。そんなプレイヤーたちの分身である勇者に、王様は3つの宝箱を与えてくれます。

 宝箱の中身は、「鍵」と「たいまつ」、そして120Gです。鍵は、王様の間を出る時に必ず消費するため、実質的にはたいまつと120Gだけ。このお金で装備こそ買えますが、武器や防具は何ひとつ下賜(かし)してくれません。

 ですが、むしろ問題はここから。王様がいる城には武器屋や防具屋はなく、装備を整えるにはラダトームの町まで足を運ぶ必要があります。城と町の間はフィールドなので、うっかりすると敵と鉢合わせる可能性も。その道中で万が一戦いになれば、こちらは完全に丸腰。たとえスライム相手でも、何の備えもなしに戦うのは怖すぎます。

 120Gという支度金の額にも言いたいことはありますが、素手でモンスターと戦う危険性を考慮しない王様の振る舞いは、少々気配りに欠けているのではと眉を寄せるばかりです。

●『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』から感じた、親子の微妙な関係性

 続編の『ドラクエII』は、初代よりもドラマチックな展開で幕開け。ムーンブルクがハーゴンの軍勢に攻め落とされ、かろうじて脱出した兵士がこの事態をローレシアの国王に伝え、その場でこと切れます。

 本作の主人公を務めるのは、王の息子──つまり、ローレシアの王子です。この緊急事態を前に、ロトの血を引く者として、ハーゴンに立ち向かうべく旅立ちました。その際に、父親である王様が渡したのは、「どうのつるぎ」と50G。最初から「かわのよろい」を身に着けているので、武具とお金の3点セットを携えて冒険に踏み出します。

 初代『ドラクエ』の支度金は120Gでした。そして今回は、どうのつるぎ、かわのよろい、50Gなので、総額で考えると『ドラクエII』の方が恵まれています。ですが、前作も勇者として知られていたとはいえ、王様と直接の関係はない他人。勇者らしい活躍をしてくれるのかまだ分からないので、支度金を絞ってしまうのも無理のない話です。

 ですが、今回は紛れもない親子であり、王様と王子という重要な立場にある人物です。王子を一大事に送り出す支度ならば、国を挙げて支援してもおかしくないでしょう。なのに、一般的な兵士と同等の装備と、かわのたてを買うにも足りない50Gのみ。もしかしたら、この親子は何か確執でもあるのか……と、妙に勘繰りたくなります。

■『ドラクエIII』は切なく、『ドラクエIV』は悲しい……初期装備事情あれこれ

最大4人パーティに向けた支援にしては、質・量ともに切ない『ドラクエIII』

●『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の支援がしょっぱくて泣ける!

 勇敢なオルテガの子供が勇者として育てられ、16歳の誕生日に旅立つ『ドラクエIII』。その生い立ちゆえか、初期装備は「どうのつるぎ」に「たびびとのふく」と、まずまず揃っています。

 ですが、開始直後の所持金はまったくのゼロ。また、本作は最初期からパーティが組めるので、自分だけでなく仲間の装備もすぐに必要です。このあたりを王様がどうフォローしてくれるのか、当時期待に胸を弾ませた方も多いことでしょう。

 肝心の王様に対面すると、勇者の冒険を後押ししつつ、「これで装備を整えるがよかろう」と、武具とお金を渡してくれました。その内訳は、「こんぼう」×2、「ひのきのぼう」、「たびびとのふく」、そして50Gです。

 勇者の仲間への支援が、ちょっとした棒と、殴りやすい棒が2本。あとは、丈夫な服と50Gぽっち。勇者を除いた3人にこの武具をそのまま渡した場合、勇者一行よりも、ごくありふれた山賊たちに見えそうです。

 ちなみに、店頭での販売額で計算すると、こんぼうが30G×2、ひのきのぼうが5G、たびびとのふくが70Gなので、支度金の50Gと合わせると総額は185G。過去作と比べて大盤振る舞いですが、勇者を除いた3人分の支度として考えると……なんだか切ない気持ちがこみ上げます。

●『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』の初期装備は、果てしなく物悲しい……

 ファミコン向けのナンバリングシリーズ最後の作品は、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』です。本作はオムニバス形式で、各章ごとに主人公がいますが、今回はそのなかでも中心人物となる第5章の主人公・勇者の初期装備に迫ります。

 本作の勇者は、幼馴染のシンシアをはじめ、村人たちに暖かく見守られながら成長しました。ですが、その所在を知られ、魔物たちから強襲を受けます。この万事休すな状況を救ってくれたのは、ほかならぬシンシアでした。

 勇者を隠し部屋にかくまった後、変身呪文で勇者になりすましたシンシアは、身代わりとなってそのまま絶命。「勇者を倒す」という目的を達した魔物たちは引き上げ、本物の勇者は無事生き延びることができました。

 いつでも旅立てるようにと準備を整えていたのか、この時点で勇者は「どうのつるぎ」「ぬののふく」「かわのぼうし」を所持。旅立ちの第一歩としては、まずまずの装備でしょう。

 しかも荒らされた村を捜索すると、「はねぼうし」が手に入ります。かわのぼうしより遥かに優秀なので、これも初期装備と考えれば他の作品と比べるとかなり良好です。……ですが、このはねぼうしは単なる防具ではありません。

 はねぼうしが落ちていたのは、以前シンシアが寝転がっていた場所。つまり、これはシンシアの持ち物と思われます。そのため、はねぼうしは彼女と勇者を繋ぐ思い出の品であり、今や形見になってしまいました。

 冒険を続けていけば、はねぼうしの性能を上回る防具はいくらでも出てきます。それでも勇者の持ち物から、はねぼうしを外せなかったプレイヤーも少なくありません。『ドラクエIV』の初期装備は、ほかの作品とは違う意味で、物悲しさが漂っています。

* * *

 世界を救う勇者に対して、あまりにもわびしい王様からの支援。「魔王を倒す前に、その辺にいるモンスターにやられたらどうするんだ」と言いたい気持ちをぐっとこらえて旅に出る。その気概こそが、勇者道の第一歩なのかもしれませんね。

(臥待)

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