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『北斗の拳』実はけっこう毒舌なケンシロウ 最初は“寡黙なヒーロー”じゃなかった?

マグミクス / 2023年10月10日 6時10分

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■なぜかKINGの面々にだけ異様に辛辣なケンシロウ

『北斗の拳』のケンシロウといえば、“寡黙なヒーロー”という印象が強く残っています。

 無口で無骨だけど、弱き者には優しい男で精悍な表情にはいつも哀しみが漂っており、怒りが頂点に達したとき、北斗神拳が炸裂する――そんな共通のイメージがあるのではないでしょうか。

 ところで、『北斗の拳』を読み返してみると、あることに気がつきます。それは、初期のケンシロウが意外と「毒舌」だということです。

“種モミじいさん”ことミスミの村を襲ったKINGのスペードと戦ったときは、こう言っていました。

「どうしたハゲ それまでか」

 スペードはハゲというよりモヒカンですが、ケンシロウはお構いなし。反撃しようとしたスペードは、北斗残悔拳によって葬り去られました。

 父親を首吊りにして幼い娘に担がせる非道中の非道、ダイヤにはこう呼びかけています。

「おいバケモノ! おれはただ通りすぎようとしているだけだ これ以上おれにかかわりあうな」

 ひどい言いようですが、これはダイヤがメイクをしていたからでしょう。ダイヤは棒術で襲いかかり、それをケンシロウは手のひらで軽く止めてしまうと、「スローすぎてあくびがでるぜ」とシンプルに挑発します。そしてそのまま棒を掴んで片腕で持ち上げ、「死ね くまどりやろう」と静かに罵倒し、交首破顔拳で倒しました。「くまどり」を知っているなんて、ケンシロウは意外と伝統文化への造詣が深そうです。

 大きな鉄の爪を使って面白半分に人を殺していたクラブには、「弱いカマキリほどよくしゃべるようだな」と的を射た挑発を繰り出します。逆上したクラブが襲いかかってきても、あっさり五指烈弾で返り討ちに。悶絶するクラブには、「どうしたカマキリ それまでか」と、スペードと同じ文法で追い打ちをかけます。命乞いをするクラブに知りたい情報をしゃべらせた後はあっさりと約束を破り、クラブに「約束がちがう!」と抗議されますが、「おまえが一度でも約束を守ったことがあるのか 一度でも命ごいをしている人間をたすけたことがあるのか」とぐうの音も出ない言葉をかけて、クラブはそのまま死んでしまいました。当然の報いです。

■ケンシロウが「毒舌」を吐かなくなったのはいつ?

ゼノンコミックスDX『北斗の拳』新装版 第2巻 書影

 ケンシロウの毒舌がもっとも炸裂したのは、KINGの幹部ハートと戦ったときでした。ハートを見る前から、シンに向かって「ブタをかっているのか?」とシンプルな悪口を繰り出します。しかし、ハートは度量の大きいところを見せつけるように自ら「ブヒブヒヒ…」とうなりながら登場、余裕の笑みを浮かべつつ「人をブタ扱いするとはいい度胸じゃないか!」とケンシロウに迫りました。しかし、当然のことながらケンシロウはまったく臆さず、「やっぱりブタか… ブタはブタ小屋へ行け!」と指さしまでして追い打ちをかけます。さすがに怒ったハートと激闘を繰り広げ、最後は北斗柔破斬でケリをつけました。

 まるで、北斗神拳には相手を挑発する毒舌の奥義もあるのかと思うようなKING幹部たちとの戦いでしたが、強敵(とも)のひとりであるシンと激しい戦いを繰り広げた後は、ケンシロウの毒舌も鳴りを潜めました。この頃から「寡黙なヒーロー」というキャラクターが定まってきたのでしょうか、発言も至極まともです。悪逆非道を尽くすジャギに怒りの炎を燃やしたときも、もう毒舌は吐きませんでした。

 ちなみにアニメ版に「ハゲ」と「ブタ」は出てきませんが、ダイヤには「バケモノはバケモノ小屋で眠っていろ」、クラブには「どうしたカマキリ それまでか」と言っています。「バケモノ」と「カマキリ」はOKで、「ハゲ」と「ブタ」はNG。非常に考え抜かれたボーダーラインと言えるでしょう。

 ケンシロウの毒舌は、ごく初期に見られたキャラクターの揺らぎに過ぎないのかもしれませんが、たまに懐かしく感じることもあります。またどこかで暴虐を尽くす敵に向かって毒舌を吐きながら倒すケンシロウの姿を見てみたい気もします。

(大山くまお)

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