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初期の「ファミコン」にあった「四角ボタン」の謎 今ではレアな存在になった理由とは?

マグミクス / 2023年10月20日 21時10分

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■「形」だけでなく「材質の違い」が悩ましかった?

 1983年7月に発売されたファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)は、日本国内で2000万台以上、世界で累計6191万台を売り上げ、「家庭用ゲーム」文化を定着させた偉大な存在です。そんなファミコンの初期型は、コントローラーのA・Bボタンが四角形だったのはご存じでしょうか。

 コントローラーのボタンと言えば、丸いプラスチック製のものを思い浮かべる人が多いと思います。が、実はファミコンが発売されてから最初の1年ほどは四角形のゴム製ボタンでした。ファミコンの出荷台数は初年度である1983年度が45万台、1984年度は165万台となっています。最初の出荷分がいつから製造されていたのか特定できていないため、切り替えのタイミングはわかりませんが、おそらくは100万台あるかないかと考えられます。それなりにレアと言えるでしょう。

 それにしても、なぜボタンを変更したのでしょうか。まず大きな理由としては、ゴム製の四角ボタンは少々硬めに作られていたものの、使い込んでいくうちにゴムが切れてしまう問題が発生したのです。なお、任天堂は開発段階でボタンを100万回押すテストを実施しており、耐久性に問題はないと判断したそうです。当時の子供たちはいったい何回押したのでしょうか……?

 また、ボタンが四角い上にわずかに変形する性質もあったため、斜めに押し込むとコントローラーの内側に食い込んでしまい、押し下げられた状態のまま戻らなくなる問題も発生しています。

 いずれにせよ、ファミコンに対する子供たちの熱狂ぶりはメーカーの想像を超えていたのでしょう。それまでは基板の上に直接ゴムのボタンを置く形となっていましたが、のちの丸ボタンでは基板の上にゴムのシートを置き、さらにその上にプラスチック製のボタンを据える形となっています。

 ボタンの耐久性が増したことは飛躍的にプレイの快適性を高めています。後に『スターフォース』や『スターソルジャー』など連射力が問われるタイトルのブーム到来の一因ともなったのではないでしょうか。

 なお、当時ファミコンを遊んでいた筆者の場合は、丸ボタンであっても連射のし過ぎで戻らなくなってしまいました。当時の自分はいったい何回押したのでしょうか……?

■実は細部に変更が加えられた「後期型ファミコン」

A・Bボタンが丸い形をしている、ファミコンのコントローラー。こちらの方が多くの人にとってなじみ深い?

 さて、ファミコン発売後に加えられた変更点はボタンだけではありません。ファミコンには大きく分けて前期型と後期型のふたつのバージョンが存在しています。この理由としては、途中で電子機器から漏洩する電磁エネルギー「ノイズ」の発生量が規制された点が挙げられます。

 そのため内部の仕様変更が行われており、前期型ではメインの基板と映像・音声信号を電波信号に変換するRFモジュレータ基板が分けられているのに対し、後期型は一体化されているのが特徴です。

 その他にも本体前面の「FAMILY COMPUTER」と描かれているパネルの部分にも違いがあります。前期型は「FAMILY COMPUTER」だけですが、後期型にはその前に「FF」と書かれています。また、カセットの差込口は前期型が青いプラスチック製なのに対し、後期型は金属で覆われています。おそらくは耐久性の向上を図ったのではないでしょうか。

 さまざまなバージョンが存在しているファミコンですが、ゲームの開発現場ではどのバージョンでも動作を確認しなければいけなかったため、特に数が少ない最初期の四角ボタンファミコンは高価で取引されることもあったそうです。

 現在でも四角ボタンファミコンの買取相場は、丸ボタンのものよりも高くなっています。当時としても珍しかった存在なので、もし中古のゲームハードを扱っている店で見かけたら、値段をよく確認してみるのも面白いのではないでしょうか。もし技術に自信がある方でしたら、壊れていても修理することが可能でしょう。発売から40年経った今でも補修用の部品は潤沢に供給されています。今なお、さまざまな形でファミコンが愛され、遊ばれている何よりの証拠だと思います。

(早川清一朗)

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