「一緒にカナダに行こうね」 野犬から生まれた子犬は海を渡った 新天地で頑張る飼い主夫妻を支える存在に
まいどなニュース / 2024年4月17日 19時30分
結婚当初から「いつかワンコを飼いたいね」と奥さんと話していた20代のMさん。諸事情からカナダへ移住することになりました。
やがて日本を離れるわけですが、この節目に「ワンコを飼いたい」という思いがさらに高まり、「せっかくなら保護犬を迎え入れたい」と保護活動家、保護団体などを訪ね、譲渡会などにも足繁く通うようになりました。
Mさん夫婦はまだ20代。「本当に飼えるのか」「カナダに行く人には…」とたびたび譲渡を断られました。
それでもMさんは諦めません。根気強く保護犬に接し、縁あって「まきちゃん」というメスのミックス犬の子犬と出会います。「なんとかして迎え入れたい」と、保護していた団体に申し出て審査を受けた後、めでたくまきちゃんを迎え入れることになりました。
元野犬から生まれたワンコだった
まきちゃんは、つがいで保護された元野犬から生まれた3姉妹の1匹でした。
保護団体で過ごしていた頃は、姉妹と一緒だったこともあり、人間への警戒心もさほどなく、気ままに過ごしているように見えました。しかし、Mさんの家では環境の変化に動揺。分離不安なのか、ずっと鳴き続けることがありました。
Mさんはまだ小さいまきちゃんの不安が払拭できるよう、できるだけ多くの時間を過ごし触れ合いました。この愛情を受けたまきちゃんは、程なくして心を開くようになりました。
そこでわかったのは、まきちゃんはかなりの人間大好きワンコということ。散歩などでは、すれ違う他のワンコよりその飼い主さんに興味を示し、「なでて!」と甘える素ぶりもします。
日本出国・カナダ入国への手続きに奔走
「この性格の良さなら、カナダでもきっとなじんでくれるはずだ」と一安心したMさん。程なくしてMさん夫妻、そしてまきちゃんのカナダへの移住手続きが始まりました。
カナダへワンコを連れていく際には、英文の狂犬病ワクチンの接種証明書が必要ですが、ここでネックとなったのが「英文」という点。まきちゃんのかかりつけの動物病院では英文での証明書の発行に対応しておらず、しばらくMさんは英文対応の動物病院探しに奔走しました。
英文の内容はMさんから見て、さほど難しいものではなかったため、まずMさんが書類のフォーマットを作成。これをベースに証明書を作成してくれる動物病院を見つけ、書類を発行することができました。
また、日本からワンコを出国させる場合、検疫所での検査も必要です。この検査を受ける際の「輸出検査申請書」も素人には難解なものでしたが、検疫所の親切な職員が何度も書き方を教えてくれ、ここでもMさんは自力で書類を用意することができました。
「壁に当たった際、できることがあれば、自分でもやってみる」というMさんのバイタリティにより、果たしてまきちゃんは日本から出国。海を渡ったカナダでMさん夫婦と一緒に新しい生活を送ることになりました。
カナダで過ごすMさん夫婦の支えに
Mさんはカナダでの新生活をスタートさせる際、保護当初に見られたまきちゃんの環境の変化への強い警戒心を思い出し、少々不安に思うところもありました。
しかしカナダでのまきちゃんは鳴き続けるようなことはなく、新しい環境にすぐになじみました。人懐っこさも相変わらずで、カナダでも人間大好き。散歩中にすれ違う人に夢中になりすぎて、目の前に現れた電柱などにガーンと体をぶつけてしまうこともあるとか。
Mさん夫妻にとって、たくましいまきちゃんの存在は、大いに癒しとなり、勇気にもつながりました。
「日々の仕事で疲れて帰宅すると、まきちゃんが全力で迎えてくれます。その表情を見ると、『今日もがんばって良かったな』という気持ちになり、疲れが一気に吹き飛びます。自分が落ち込んでいるときには様子を察してさりげなく傍にいてくれることもあります。私たちの強い支えでいてくれています」
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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